[P-YB-22-3] 高齢者の姿勢変化と身体機能との関係
3年間の縦断的検証
キーワード:姿勢評価, 高齢者, 身体機能
【はじめに,目的】
身体機能と姿勢との関係について検証された研究は少ないが,身体機能と姿勢ともに加齢の変化との関係については,重要と考えられている。そこで,3年間以上施設に通所している高齢者の体力測定と姿勢測定の結果を用いて身体機能と姿勢との関係についての検討を行った。
【方法】
対象は,H21年4月からH27年10月の間で3年以上施設を利用されている利用者で男性6名(初回平均年齢66.33歳,平均BMI25.39,脳梗塞3名,脊髄小脳変性症1名,脊椎狭窄症1名,パーキンソン病1名),女性4名(初回平均年齢79.50歳,平均BMI25.36,脳梗塞2名,圧迫骨折1名,人工股関節1名)。身体機能は,HUR社製のマシンとパフォーマンスレコーダーにて,股関節外内転,左右体幹回旋,左右leg press,左右膝伸展・左右膝屈曲の各筋力。takei社製の握力計にて,握力を測定。開眼片脚立ち保持時間(片脚立ち),10m歩行,Timed Up and Go test(TUG)を計測した。姿勢測定は,(株)ザ・ビッグスポーツ社製のPA200を用い,前額面では,眉間,両肩峰,喉元,臍,両上前腸骨棘,両膝蓋骨中心,両足関節中心を指標とし,矢状面では,耳穴,C7,肩峰,上前腸骨棘,上後腸骨棘,大転子,外側上顆,第五中足骨粗面を指標とした。初回と2年目,3年目の10m歩行と左右TUGの測定値の差と同様の体力測定値と姿勢測定値の差とを相関関係をピアソンの積率相関係数を用いて検討した。
【結果】
初回-2年目では,左右leg press,右膝伸展,片脚立ち,右TUG,10m歩行にて有意な改善がみられ,初回-3年目では,左右leg pressにて有意な改善がみられた。また,骨盤回旋や大転子,眉間が正中線に有意に近づいた。10m歩行との相関関係がみられたのは,初回-2年目では,左レッグプレス(r=0.40)と大転子(r=0.49)。初回-3年目では,大転子(r=-0.64),眉間(r=-0.43)であった。右TUGでは,初回-2年目にて左TUG(r=0.90)と10m歩行(r=0.72),初回-3年目で左TUG(r=0.95)と10m歩行(r=0.92),片脚立ち(r=-0.40),大転子(r=-0.74),眉間(r=-0.50)であった。左TUGでは,初回-2年目にて10m歩行(r=0.95),初回-3年目にて片脚立ち(r=-0.50),大転子(r=-0.57),眉間(r=-0.44)であった。
【結論】
過去の文献から,首背角度と筋力量,最大歩行速度や6分間歩行と腰椎前彎角に有意な相関が認められ,大腿四頭筋等の膝伸展筋力と腰椎前彎角との関係にも負の相関が認められている。本研究も,10m歩行とleg pressとに正の相関が,10m歩行と大転子,10m歩行と眉間,左右TUGと大転子,左右TUGと眉間とに負の相関が認められ,大転子や眉間が正中線に近づく事により10m歩行やTUGの測定値が向上されたと考えられ,大転子や眉間の位置が歩行速度や機能的移動能力といった身体機能に影響を及ぼす可能性があり,姿勢の評価や指導も効率的な身体機能の改善に期待できると示唆された。
身体機能と姿勢との関係について検証された研究は少ないが,身体機能と姿勢ともに加齢の変化との関係については,重要と考えられている。そこで,3年間以上施設に通所している高齢者の体力測定と姿勢測定の結果を用いて身体機能と姿勢との関係についての検討を行った。
【方法】
対象は,H21年4月からH27年10月の間で3年以上施設を利用されている利用者で男性6名(初回平均年齢66.33歳,平均BMI25.39,脳梗塞3名,脊髄小脳変性症1名,脊椎狭窄症1名,パーキンソン病1名),女性4名(初回平均年齢79.50歳,平均BMI25.36,脳梗塞2名,圧迫骨折1名,人工股関節1名)。身体機能は,HUR社製のマシンとパフォーマンスレコーダーにて,股関節外内転,左右体幹回旋,左右leg press,左右膝伸展・左右膝屈曲の各筋力。takei社製の握力計にて,握力を測定。開眼片脚立ち保持時間(片脚立ち),10m歩行,Timed Up and Go test(TUG)を計測した。姿勢測定は,(株)ザ・ビッグスポーツ社製のPA200を用い,前額面では,眉間,両肩峰,喉元,臍,両上前腸骨棘,両膝蓋骨中心,両足関節中心を指標とし,矢状面では,耳穴,C7,肩峰,上前腸骨棘,上後腸骨棘,大転子,外側上顆,第五中足骨粗面を指標とした。初回と2年目,3年目の10m歩行と左右TUGの測定値の差と同様の体力測定値と姿勢測定値の差とを相関関係をピアソンの積率相関係数を用いて検討した。
【結果】
初回-2年目では,左右leg press,右膝伸展,片脚立ち,右TUG,10m歩行にて有意な改善がみられ,初回-3年目では,左右leg pressにて有意な改善がみられた。また,骨盤回旋や大転子,眉間が正中線に有意に近づいた。10m歩行との相関関係がみられたのは,初回-2年目では,左レッグプレス(r=0.40)と大転子(r=0.49)。初回-3年目では,大転子(r=-0.64),眉間(r=-0.43)であった。右TUGでは,初回-2年目にて左TUG(r=0.90)と10m歩行(r=0.72),初回-3年目で左TUG(r=0.95)と10m歩行(r=0.92),片脚立ち(r=-0.40),大転子(r=-0.74),眉間(r=-0.50)であった。左TUGでは,初回-2年目にて10m歩行(r=0.95),初回-3年目にて片脚立ち(r=-0.50),大転子(r=-0.57),眉間(r=-0.44)であった。
【結論】
過去の文献から,首背角度と筋力量,最大歩行速度や6分間歩行と腰椎前彎角に有意な相関が認められ,大腿四頭筋等の膝伸展筋力と腰椎前彎角との関係にも負の相関が認められている。本研究も,10m歩行とleg pressとに正の相関が,10m歩行と大転子,10m歩行と眉間,左右TUGと大転子,左右TUGと眉間とに負の相関が認められ,大転子や眉間が正中線に近づく事により10m歩行やTUGの測定値が向上されたと考えられ,大転子や眉間の位置が歩行速度や機能的移動能力といった身体機能に影響を及ぼす可能性があり,姿勢の評価や指導も効率的な身体機能の改善に期待できると示唆された。