[P-YB-24-4] 高齢農作業者に対する腰痛予防に関する研究
キーワード:腰痛, 農作業, 動作指導
【はじめに】
腰痛は全国で業務上疾病の約6割を占め,その予防対策を積極的に推進することが求められている。厚生労働省は,平成6年に「職場における腰痛予防対策指針」を策定,平成25年に全面改訂にて作業方法や作業環境,健康管理を事業者ごとにアセスメントやマネジメントを行うように啓発を行っているものの,予防としての認識は停滞しているのが現状である。特に,農業従事者は高齢化が進み,農業就業人口の65歳以上が6割を占めており,腰痛を予防することは重要と考える。そこで,農作業を行っている高齢者を対象に,具体的な動作・運動指導を行い,腰痛軽減・予防の可能性について検討したので報告する。
【方法】
行政より当院に委託を受け実施している介護予防教室にて参加者の内,農作業を行っている人を対象とした。調査は,腰痛経験の有無,腰痛の頻度や程度・期間,腰痛が生じる動作などについて選択式及び,記述式調査票を用いて実施した。実施後に対象者に対して重量物の持ち方などの動作や,腰部の柔軟や筋トレなどの運動を口頭と紙面にて指導した。調査後2ヶ月後に再度同様の調査票にて調査を行った。
【結果】
調査票の有効回答率94.4%,腰痛経験者は31名で,平均年齢は78歳(61~90歳)であった。腰痛の頻度は毎日が35.5%,1週間に時々は16.1%,月に時々は32.3%であった。腰痛の程度は常時痛みがあるが22.6%,時々痛みがあるが71.0%であった。
腰痛の具体的な動作はしゃがんだ状態での作業,長時間での同じ姿勢が多かった。作業別では,水田では,田植え,うせという一定姿勢で行う動作が多く,次いで苗箱運び,稲刈り,米袋運びといった重量物を運ぶ動作となった。畑作では,収穫動作が多く,次いで水やりや種植えといった一定姿勢で行う動作や物を運ぶ動作が多かった。
2ヵ月後の調査の有効回収率は87.9%であった。腰痛の頻度は毎日が指導前35.5%から29.6%に減少した。痛みの程度は常時痛みがあるが22.6%から14.8%に減少し,痛みが無くなったが7.4%であった。指導した運動により腰痛が軽減したと回答したのが66.7%であった。指導した動作に注意しながら動作を行っているが81.5%であった。腰痛が軽減した具体的な動作ではしゃがんだ状態での作業であった。
【結論】
今回,農作業を行っている高齢者を対象に腰痛に関する調査を実施し,しゃがんだ状態での作業,同じ姿勢での長時間作業で腰痛が生じていることが明らかとなった。また,調査結果をもとに腰痛を生じる姿勢や動作について教育指導した。その結果,腰痛の頻度と程度は軽減傾向を示した。具体的に腰痛が出現する動作を示すことで農作業時に腰痛予防に対する意識が高まり,腰痛軽減につながったと考える。今後は農作業時に生じる腰痛を解り易く示し,指導する方法を検討していきたい。
腰痛は全国で業務上疾病の約6割を占め,その予防対策を積極的に推進することが求められている。厚生労働省は,平成6年に「職場における腰痛予防対策指針」を策定,平成25年に全面改訂にて作業方法や作業環境,健康管理を事業者ごとにアセスメントやマネジメントを行うように啓発を行っているものの,予防としての認識は停滞しているのが現状である。特に,農業従事者は高齢化が進み,農業就業人口の65歳以上が6割を占めており,腰痛を予防することは重要と考える。そこで,農作業を行っている高齢者を対象に,具体的な動作・運動指導を行い,腰痛軽減・予防の可能性について検討したので報告する。
【方法】
行政より当院に委託を受け実施している介護予防教室にて参加者の内,農作業を行っている人を対象とした。調査は,腰痛経験の有無,腰痛の頻度や程度・期間,腰痛が生じる動作などについて選択式及び,記述式調査票を用いて実施した。実施後に対象者に対して重量物の持ち方などの動作や,腰部の柔軟や筋トレなどの運動を口頭と紙面にて指導した。調査後2ヶ月後に再度同様の調査票にて調査を行った。
【結果】
調査票の有効回答率94.4%,腰痛経験者は31名で,平均年齢は78歳(61~90歳)であった。腰痛の頻度は毎日が35.5%,1週間に時々は16.1%,月に時々は32.3%であった。腰痛の程度は常時痛みがあるが22.6%,時々痛みがあるが71.0%であった。
腰痛の具体的な動作はしゃがんだ状態での作業,長時間での同じ姿勢が多かった。作業別では,水田では,田植え,うせという一定姿勢で行う動作が多く,次いで苗箱運び,稲刈り,米袋運びといった重量物を運ぶ動作となった。畑作では,収穫動作が多く,次いで水やりや種植えといった一定姿勢で行う動作や物を運ぶ動作が多かった。
2ヵ月後の調査の有効回収率は87.9%であった。腰痛の頻度は毎日が指導前35.5%から29.6%に減少した。痛みの程度は常時痛みがあるが22.6%から14.8%に減少し,痛みが無くなったが7.4%であった。指導した運動により腰痛が軽減したと回答したのが66.7%であった。指導した動作に注意しながら動作を行っているが81.5%であった。腰痛が軽減した具体的な動作ではしゃがんだ状態での作業であった。
【結論】
今回,農作業を行っている高齢者を対象に腰痛に関する調査を実施し,しゃがんだ状態での作業,同じ姿勢での長時間作業で腰痛が生じていることが明らかとなった。また,調査結果をもとに腰痛を生じる姿勢や動作について教育指導した。その結果,腰痛の頻度と程度は軽減傾向を示した。具体的に腰痛が出現する動作を示すことで農作業時に腰痛予防に対する意識が高まり,腰痛軽減につながったと考える。今後は農作業時に生じる腰痛を解り易く示し,指導する方法を検討していきたい。