第52回日本理学療法学術大会

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[P-YB-24] ポスター(予防)P24

2017年5月14日(日) 11:40 〜 12:40 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本予防理学療法学会

[P-YB-24-5] 特別支援学校職員における腰痛調査
身体的特徴を中心に

石川 大輔1, 吉岡 豊城1, 愛洲 純1, 勝田 紘史2 (1.医療法人永広会島田病院リハビリテーション部, 2.医療法人永広会島田病院整形外科)

キーワード:特別支援学校職員, 腰痛, 身体的特徴

【はじめに,目的】近年の社会福祉施設での腰痛発生件数の増加等を受けて,厚生労働省は19年ぶりに「職場における腰痛予防対策指針」を改訂した。その内容で,医療や介護,特別支援学校等での腰痛予防対策の必要性が述べられている。しかし,看護や介護職に対する腰痛調査などの報告は多いが,特別支援学校職員に対する腰痛調査では,稲岡らのアンケート調査による報告はあるが,腰痛と身体的特徴の評価を実施している研究は少ない。そこで,本研究の目的は特別支援学校職員を対象に腰痛と身体的特徴の関係を調査した。


【方法】大阪府下の特別支援学校に勤務する122名(男性47名,女性75名)を対象とした。年齢は37.0±11.7歳,身長は163.6±9.9kg,体重は59.2±12.1kgだった。腰痛の定義は,腰痛ガイドラインに準じて過去3ヶ月以上腰痛が続く者とした。また,下肢に痺れがある者,過去に脊椎の手術歴がある者は除外した。評価方法は,腰痛に関連があるとされている腹筋持久力,背筋持久力,股関節柔軟性,脊柱アライメントとした。腹筋持久力,背筋持久力はクラウスウーェバーの項目を実施した。股関節柔軟性は,屈曲・内旋・外旋・Straight Leg Raisingを評価した。脊柱アライメントの評価には,Lindseyらの方法に準じて自在曲線定規を用いて脊柱カーブを評価した。ラウンドマークはC7棘突起とL5-S1棘突起間とした。脊柱カーブを紙にトレースし,C7からL5-S1に直線を引き交わる点を交点とした。C7から交点までthoracic length(以下TL)とし,胸椎カーブの頂点からTLに下ろした垂線をthoracic width(以下TW)とした。TWをTLで除した値に100をかけたものを胸椎アライメントとした。また,同様な方法で腰椎アライメントを求めた。統計処理には,腰痛あり群と腰痛なし群に分類した。各項目のデータが正規分布に従うかをジャピロ・ウイルク検定で確認し,全ての検定において有意水準が5%未満であったので,Mann-Whitney U検定を用いて項目ごとに解析を行った。


【結果】122人中,腰痛あり群は54.9%,腰痛なし群は45.1%であった。腰痛あり群は腰痛なし群と比較して,左股関節屈曲および両股関節内旋角度で有意に低かった(p<0.05)。


【結論】特別支援学校職員の職業動作は,生徒を介助することが多く,片膝をついたしゃがみこみ動作が多いことが特徴である。しゃがみこみ動作には,大腿骨が屈曲すると寛骨が後傾運動をする寛骨大腿リズム,深屈曲で大腿骨が外旋方向に軌道すること,骨盤後傾したとき腰椎骨盤リズムが生じるが,股関節屈曲・内旋制限が生じている腰痛群では,それらが破綻し,腰部へのストレスが増大したと考える。