[P-YB-25-1] 過去30年間に雑誌「理学療法学」に発表された予防理学療法に関する研究論文の計量書誌学的分析
Keywords:計量書誌学的分析, 予防理学療法, 理学療法学雑誌
【はじめに,目的】予防理学療法に関する研究は近年,注目を集めている分野である。国も政策として疾病の予防を念頭に置き,理学療法士が疾病および障害予防の一翼を担うことを期待している。我々は「理学療法学」が理学療法研究の代表的な雑誌であると考え,そこに掲載された計量書誌学的データが,予防理学療法分野の傾向を示すものと考えた。本研究は過去30年間に雑誌「理学療法学」に発表された予防理学療法に関する研究論文を計量書誌学的に分析し,その特徴を明らかにすることを目的とする。
【方法】CiNiiのウェブサイトで,過去30年間(1986年-2015年)に発表された予防理学療法に関する論文を検索した。包含基準は(1)原著論文,システマティックレビュー,症例報告,調査報告,(2)論文のための一次的データ収集をしていることとし,除外基準は,(1)学会や研修会の発表をまとめた論文,(2)学会抄録とした。なお,日本理学療法士学会の研究助成成果報告は,2006年以前は研究論文の体裁で,それ以降は報告書である。よって2006年以前の論文は解析対象,それ以降は除外した。先行研究を基にコード表を作成し,論文の特徴をコード化した。解析対象は,筆頭筆者の所属,研究デザイン,論文の目的,分科学会・部門などであった。2人の研究者が独立してコード化を行った。
【結果】過去30年に発表された1,111本の論文中,予防理学療法に関する論文は42本(3.78%)であった。筆者の所属の26.19%が大学,21.43%が病院の所属であった。研究対象者のタイプにおいて,症状のある成人(37.21%)が最も多く,次いで症状のない高齢者(34.88%)であった。研究デザインにおいて,分析的研究が97.62%,記述的研究が2.38%であった。分析的研究は横断的研究(47.62%)が多く,続いて前方視的研究(28.57%)が多かった。論文の目的は,病因(40.48%)と治療(19.05%)が多かった。治療介入のタイプは筋力トレーニング(28.57%),スキル・課題トレーニング(23.81%)が多かった。分析的研究の年次推移において,1994年に最初の報告がなされ,2000年以降の報告(92.86%)が大半を占める。1994年-2005年は横断的研究(61.54%)が最も多く,次いで被験者内・被験者間研究(23.08%)が多かった。2006年-2015年では横断的研究(41.38%)が最も多くなり,前方視的研究(34.48%)が増加した。
【結論】計量書誌学的分析を用いて,雑誌「理学療法学」の30年間の予防理学療法に関する論文の特徴を明らかにした。その結果,20世紀後半から報告され始めた新規性の高い分野であることが分かった。研究デザインの年次推移は「横断的研究」から「前方視的研究」へとその割合が変化し,治療介入のタイプには突出した項目は無く,筋力トレーニングやスキル・課題トレーニングがその大半を占めた。本研究の限界は研究方法や報告の質,エビデンスレベルを検証していないこと,分科学会の分類を研究者の判断で行ったことである。
【方法】CiNiiのウェブサイトで,過去30年間(1986年-2015年)に発表された予防理学療法に関する論文を検索した。包含基準は(1)原著論文,システマティックレビュー,症例報告,調査報告,(2)論文のための一次的データ収集をしていることとし,除外基準は,(1)学会や研修会の発表をまとめた論文,(2)学会抄録とした。なお,日本理学療法士学会の研究助成成果報告は,2006年以前は研究論文の体裁で,それ以降は報告書である。よって2006年以前の論文は解析対象,それ以降は除外した。先行研究を基にコード表を作成し,論文の特徴をコード化した。解析対象は,筆頭筆者の所属,研究デザイン,論文の目的,分科学会・部門などであった。2人の研究者が独立してコード化を行った。
【結果】過去30年に発表された1,111本の論文中,予防理学療法に関する論文は42本(3.78%)であった。筆者の所属の26.19%が大学,21.43%が病院の所属であった。研究対象者のタイプにおいて,症状のある成人(37.21%)が最も多く,次いで症状のない高齢者(34.88%)であった。研究デザインにおいて,分析的研究が97.62%,記述的研究が2.38%であった。分析的研究は横断的研究(47.62%)が多く,続いて前方視的研究(28.57%)が多かった。論文の目的は,病因(40.48%)と治療(19.05%)が多かった。治療介入のタイプは筋力トレーニング(28.57%),スキル・課題トレーニング(23.81%)が多かった。分析的研究の年次推移において,1994年に最初の報告がなされ,2000年以降の報告(92.86%)が大半を占める。1994年-2005年は横断的研究(61.54%)が最も多く,次いで被験者内・被験者間研究(23.08%)が多かった。2006年-2015年では横断的研究(41.38%)が最も多くなり,前方視的研究(34.48%)が増加した。
【結論】計量書誌学的分析を用いて,雑誌「理学療法学」の30年間の予防理学療法に関する論文の特徴を明らかにした。その結果,20世紀後半から報告され始めた新規性の高い分野であることが分かった。研究デザインの年次推移は「横断的研究」から「前方視的研究」へとその割合が変化し,治療介入のタイプには突出した項目は無く,筋力トレーニングやスキル・課題トレーニングがその大半を占めた。本研究の限界は研究方法や報告の質,エビデンスレベルを検証していないこと,分科学会の分類を研究者の判断で行ったことである。