[SG-1] 身近な職域での産業理学療法実践~保健・衛生業の腰痛対策のために
本邦の産業保健分野での業務上疾病における腰痛は6割を占め,プレゼンティーイズムをも考慮すると大きな社会問題となっています。業務上疾病における腰痛の割合が非常に多い製造業,運輸・交通業,保健・衛生業,商業の中でも,保健・衛生業の腰痛は発生率および件数において最も多い状況です。理学療法士がこの保健・衛生業に属しているにも関わらず,腰痛が減少していないのは,理学療法の視点が産業保健分野に生かされていないからと言っても過言ではありません。海外における産業理学療法は企業などの筋骨格系障害を予防する観点から,人間工学的な視点中心に発達してきました。保健・衛生業においてもノーリフトポリシーが提唱されていますが,本邦においてはノーリフトの考えが十分に浸透しにくい状況(リフターなどの配備不十分,日本家屋特有の狭さなど)であり,現場では人的介助が必要な場面が多くみられます。つまり,人間工学的な視点のみでは,本邦の保健・衛生業の腰痛を改善するには不十分であると考えます。さらに,腰痛と心理社会的要因の関係性が示される中,保健・衛生業は心理社会的ストレスの多い職場であることも考慮しなくてはなりません。このような状況を踏まえて,保健・衛生業に従事する理学療法士は,自施設の腰痛対策に取り組んでいただきたいと思っています。
講演では産業理学療法における腰痛予防の観点を踏まえて,心理社会的因子との関係,およびアプローチ方法を紹介します。治療ではなく予防であるため医療に依存させないということが重要であり,腰痛に対して自己管理を教育する方法を知っていただきたいと思います。身体的要因及び心理社会的要因が絡んだ腰痛の多い保健・衛生業の腰痛発生率を改善することができれば,様々な企業や自治体の腰痛対策も可能になると考えます。
講演では産業理学療法における腰痛予防の観点を踏まえて,心理社会的因子との関係,およびアプローチ方法を紹介します。治療ではなく予防であるため医療に依存させないということが重要であり,腰痛に対して自己管理を教育する方法を知っていただきたいと思います。身体的要因及び心理社会的要因が絡んだ腰痛の多い保健・衛生業の腰痛発生率を改善することができれば,様々な企業や自治体の腰痛対策も可能になると考えます。