第52回日本理学療法学術大会

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[SG-10] 教育講演 理学療法の質向上と質変化のマネジメントに挑む~EPDCAサイクルを基盤としたスキルアップとスキルチェンジ~

2017年5月13日(土) 17:20 〜 18:20 B2会場 (東京ベイ幕張ホール No. 3・4)

司会:村永 信吾(亀田メディカルセンターリハビリテーション室)

理学療法管理部門企画

[SG-10] 理学療法の質向上と質変化のマネジメントに挑む~EPDCAサイクルを基盤としたスキルアップとスキルチェンジ~

佐々木 嘉光 (医療法人社団明徳会十全記念病院リハビリテーションセンター)

医療の質を向上させるためには,どこに行っても一定レベル以上の医療を受けられることが非常に重要であり,国民皆保険制度自体はそういう精神に基づいているといえます。

昭和41年,日本に理学療法士が誕生し,そのわずか8年後に,リハビリテーション医の荻島秀男氏の編集のもと「機能障害と評価」という書籍が出版されました。「はじめに」の文書の冒頭において萩島氏は,「リハビリテーション医学の特徴は評価にあるといっても過言ではない。ただ,評価というものがテストとまったく同じに扱われると評価が生きてこない。テストはあくまでも一手段であり,各種のテストを必要な場合には行い,それを総合的に連携を持たせ,患者の表面的な疾病・障害のみならず,患者を全体的に把握してこそ,評価により治療プログラムの設定,ゴールの設定,すなわち患者にとってなにが必要なのか,リハビリテーション的アプローチで何をしてあげることが可能なのかがはっきりしてくるのではないだろうか。」と述べています。近年,地域包括ケアシステムの構築にあたり,治療のための評価と,リハビリテーションマネジメントのための評価能力が求められています。「治す」理学療法から,「治し支える」理学療法への転換は,すなわちスキルアップとスキルチェンジが求められているのだと思います。

社会保障制度の変化の大きいこの時期だからこそ,理学療法士の臨床能力の基盤となるEPDCAサイクルを実施できているのかについて,職場単位で改めて確認することが重要であり,その点検する方法は「症例検討」なのだと思います。EPDCAサイクルのプロセスと,アウトカムに対して責任を持つ理学療法士を育成し,全国どこに行っても一定レベル以上の理学療法を受けられるように,常に品質向上に努めることが重要です。患者単位のEPDCAサイクルの総点検を,職場マネジメント,先輩による後輩指導を通じて全国で展開されることを切に願っています。