The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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物理療法理学療法部門企画 » シンポジウム

[SG-2] シンポジウム 急性期リハビリテーションにおける電気刺激療法の新展開

Fri. May 12, 2017 11:00 AM - 12:00 PM B1会場 (東京ベイ幕張ホール No. 1・2)

座長:生野 公貴(西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部)

物理療法理学療法部門企画

[SG-2-1] 神経系疾患への電気刺激療法 急性期脳卒中患者を中心に

野添 匡史 (甲南女子大学看護リハビリテーション学部理学療法学科)

脳卒中患者に対する急性期理学療法の基本は早期離床であり,多数の報告が行われているが(The AVERT Trial Collaboration group;2015, Bernhardt, et al.,;2016, Yelnik, et al.,;2017),運動麻痺や感覚障害,痙縮や骨格筋機能といった脳卒中患者の機能予後に大きな影響を与える因子に対してどの程度効果があるかは明らかにされていない。これらの機能改善に対して,亜急性期から慢性期にかけて効果が多数報告されている神経筋電気刺激(NMES)が有効な可能性は十分にある。

脳卒中患者に対するNMESは中枢機能(脳・脊髄)及び末梢機能(末梢神経・骨格筋)への効果が期待されている(Knutson, et al.,;2015)。中枢機能に対する効果に関して,運動麻痺回復のステージ理論に従うと急性期は皮質脊髄路の興奮性を高めることが重要となることからも(原寛美;2012),発症後早期からNMESを用いて皮質脊髄路の興奮性を高める介入を行うことは理に適っているといえる。また,末梢機能のなかでも下肢骨格筋の筋萎縮は脳卒中患者の機能予後に影響を与え,かつ急性期から生じるという特徴がある(Nozoe, et al.,;2016)。我々はこの筋萎縮を予防する手段として,急性期にNMESを用いることが有効ではないかと考え効果検証を行っている(Nozoe, et al.,;2017)。これらの検証結果を中心に,急性期脳卒中患者にNMESを行う意義について概説する。

また,NMESを急性期脳卒中患者に適応する際には,強力なエビデンスが蓄積した早期離床を軸に考えることが重要である。近年の報告では,少量頻回な介入の有効性が報告されているが(Bernhardt, et al.,;2016),NMESはあくまで早期離床+αの介入手段として考慮されるべきものである。当日は早期離床に組み合わせたNMESの実践方法について,症例を提示しながら説明する。

本シンポジウムをきっかけに,急性期脳卒中理学療法の新展開について議論ができることを期待する。