第52回日本理学療法学術大会

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物理療法理学療法部門企画 » シンポジウム

[SG-2] シンポジウム 急性期リハビリテーションにおける電気刺激療法の新展開

2017年5月12日(金) 11:00 〜 12:00 B1会場 (東京ベイ幕張ホール No. 1・2)

座長:生野 公貴(西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部)

物理療法理学療法部門企画

[SG-2-2] 運動器系疾患への電気刺激療法

徳田 光紀1,2 (1.平成記念病院リハビリテーション課, 2.畿央大学大学院健康科学研究科)

運動器系疾患に対する急性期のリハビリテーションは,過剰な安静(不活動)を回避し日常生活動作や身体活動を速やかに再開することが必須で,運動療法や患者教育とともに物理療法が推奨されている。その中でも電気刺激療法は,運動器系疾患に必発する疼痛や筋力低下に対する物理療法手段として従来から実施され,多くの先行研究で有効性が示されてきた。鎮痛を目的とした電気刺激療法は,急性痛の鎮痛効果に加えて,薬物使用量の軽減や薬物療法に伴う副作用症状の軽減に寄与するとの報告も多く,慢性痛の予防にも貢献できる可能性がある。筋力増強を目的とした電気刺激療法においても,筋萎縮の予防や筋力の改善に肯定的な報告が多いが,急性期症例に対しては積極的に実施されていないのが現状である。
実際の臨床現場では,運動器系疾患の手術後はガーゼや医療用テープなど術創部保護の処置によって電極貼付が困難な場合が多い。感染の危惧や,骨接合術や人工関節置換術などでインプラント挿入した症例に対するリスク管理を重要視して敬遠されている実情もあると推察する。また,電気刺激によって疼痛を助長してしまう場合や電気刺激で筋力増強効果を狙ったにも関わらず十分な筋収縮が得られない場合もあり,急性期症例に対して奏功しなかった経験をもつ療法士も多いのではないだろうか。
電気刺激療法は病態や臨床所見を考慮したうえで,各症例に合わせた電極貼付やパラメーター設定が非常に重要となるが,近年では,電気刺激療法に関する基礎研究結果に基づいて,疼痛部位周囲以外への電極貼付で鎮痛を図る実施方法や筋収縮を引き起こさずに筋力増強を図るパラメーター設定など,従来とは異なる介入方法でも良好な結果が報告されてきている。
本講演では,運動器系疾患の急性期症例に対する電気刺激療法のリスク管理を整理したうえで,臨床応用するためのノウハウを提示し,今後の課題と展望について考えたい。