第52回日本理学療法学術大会

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[SG-5] 特別講演 排尿ケアに関する職種間連携と理学療法の可能性

2017年5月12日(金) 15:30 〜 16:30 A3会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室201)

司会:井上 倫恵(名古屋大学大学院医学系研究科リハビリテーション療法学専攻理学療法学講座)

ウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法部門企画

[SG-5] 排尿ケアに関する職種間連携と理学療法の可能性

吉川 羊子 (小牧市民病院泌尿器科排尿ケアセンター)

2016年の診療報酬改定により「排尿自立指導料」(以下,指導料)が新設された。頻尿,尿失禁や排尿障害など下部尿路機能障害を持つ症例に対し,多職種チームによる包括的排尿ケアを実施することが公に評価され,インセンティブが与えられることは排尿ケアの現場にとっては画期的かつ待望のできごとである。対象が入院中の尿道カテーテル留置症例に限られてはいるものの,指導料算定を行うための院内の活動が,排尿ケアのボトムアップにつながることは大いに期待ができる。そして,本指導料で注目すべきもう一点は,算定に必要な条件となる「排尿ケアチームの設置」のチーム構成員として理学療法士を必須とした点にある。医師,看護師とともに理学療法士が排尿ケアに欠かせない存在であることも明記がされたのである。
入院症例の多くは基礎・合併疾患,加齢などによりADLが低下する。そのために「トイレで排尿する」という毎日,一日に何度も繰り返される排尿関連動作が阻害される,それだけのことが下部尿路機能障害をもたらす。当院では2010年よりこのようなリスクの潜在する症例を病棟で掘り起して介入する「排泄ケアラウンド」を泌尿器科医と皮膚・排泄ケア認定看護師で実施してきた。約7年間で798例を評価・介入し65%が著明改善したがこの結果につながった介入として,「適切な間欠導尿」に次いで「排尿のポジショニング再獲得」が有効であった。排尿ケアの実践において,まさに理学療法的アプローチの必要性が実感された結果であった。
排尿自立指導料では診療計画書に排尿関連動作を評価する「排尿自立度」が「下部尿路機能」とともにスコア化される。医師,看護師,理学療法士がこの情報を共有し,共通認識で症例に介入することが期待される。本講演では指導料算定の実際についても触れ,排尿ケアにおける理学療法の役割について検討する。