[SG-9] 動物に対する理学療法の対象になる疾患―股関節―
伴侶動物における獣医療の発展とともに,動物に対する理学療法の重要性が高まってきている。本邦において,獣医療では動物に対する理学療法の知識と技術は,主に海外から習得してきたが,近年は獣医師と理学療法士が互いに協力しあって動物理学療法の発展に寄与するようになってきた。世界的にみても世界理学療法連盟(WCPT)のサブグループに動物に対する部門が設立されており,日本理学療法士協会でも昨年より「動物に対する理学療法部門」が設置され,理学療法士が動物に対して参画する流れができつつある。
理学療法士が動物に対して理学療法を行っていくためには,まずは動物種とそれに特有の疾患を理解しておく必要がある。疾患名でみると動物とヒトでは意外と同じものが多いことに驚く。しかし,疾患名が同じでも,原因や治療法が異なる場合もあるため,動物に対して実施する際はきちんとした理解が必要である。
理学療法の対象動物は犬が最も多く,整形学的疾患では特に股関節疾患によく遭遇する。代表的な犬の股関節疾患は,大型犬によくみられる股関節形成不全症,若齢犬の小型犬に多いLegg-Calvé-Perthes病,中齢~高齢犬によくみられる変形性股関節症や股関節脱臼などである。ヒトでよくみられる大腿骨頚部骨折は動物ではほとんどみられない。また,股関節疾患の治療法はヒトとは異なる。Legg-Calvé-Perthes病でも装具療法がまず選択されることはなく,外科治療が適応される場合が多い。犬の股関節疾患で最も広く行われている術式は大腿骨頭を切除し股関節の偽関節を形成させる大腿骨頭切除術である。人工靭帯で円靭帯を再建するトグルピン法もある。また,施設は限られているが股関節全置換術も動物に実施されている。このように同じ疾患名でもヒトと動物では大きく異なるところがある。
本講演では,犬の股関節疾患とその治療法,そして術後の理学療法について紹介する。
理学療法士が動物に対して理学療法を行っていくためには,まずは動物種とそれに特有の疾患を理解しておく必要がある。疾患名でみると動物とヒトでは意外と同じものが多いことに驚く。しかし,疾患名が同じでも,原因や治療法が異なる場合もあるため,動物に対して実施する際はきちんとした理解が必要である。
理学療法の対象動物は犬が最も多く,整形学的疾患では特に股関節疾患によく遭遇する。代表的な犬の股関節疾患は,大型犬によくみられる股関節形成不全症,若齢犬の小型犬に多いLegg-Calvé-Perthes病,中齢~高齢犬によくみられる変形性股関節症や股関節脱臼などである。ヒトでよくみられる大腿骨頚部骨折は動物ではほとんどみられない。また,股関節疾患の治療法はヒトとは異なる。Legg-Calvé-Perthes病でも装具療法がまず選択されることはなく,外科治療が適応される場合が多い。犬の股関節疾患で最も広く行われている術式は大腿骨頭を切除し股関節の偽関節を形成させる大腿骨頭切除術である。人工靭帯で円靭帯を再建するトグルピン法もある。また,施設は限られているが股関節全置換術も動物に実施されている。このように同じ疾患名でもヒトと動物では大きく異なるところがある。
本講演では,犬の股関節疾患とその治療法,そして術後の理学療法について紹介する。