[SN-3] 予防と理学療法 子どもの運動器の立場から
近年,神経科学の発展によって,ヒトの運動イメージが5歳から12歳までに顕著に発達することが明らかになっている。また,投球動作や跳躍動作などのスポーツ動作についても,10歳頃までには成人と同様の運動パターンを呈することがわかっており,幼少期の基本的運動能力をいかに育むかが重要と考えられている。しかし,実際には子ども達の遊び環境は変化しており,基本的運動能力の低下が顕著となっている。基本的運動能力の低下は,肥満や疾病,障害の増加をもたらし,社会問題の一つとして顕在化してきている。
我々は,2013年度より小学生を対象とした基本的運動能力の縦断的調査を開始し,子どもの運動パターンの変化を観察してきた。基本的運動能力の低下だけでなく,運動パターンの未熟さが顕著になっており,身体の動かし方がわからない子どもが増えてきている。運動パターンが未熟な子どもの要因については,単一の問題があるわけではなく,様々な要素が複雑に絡んでいるため,効果的な介入方法について考えていくことが重要である。
一方で,2020年の東京五輪に向けたジュニア競技者の育成に関する障害予防についても考えていく必要がある。カナダやオーストラリアなどのスポーツ医学先進国では,オリンピック選手の育成に向けて,長期アスリート育成理論やFTEMモデル(Foundation,Talent,Elite,Mastery)が提唱され,幼少期の基本的運動能力の重要性を説いている。基本的運動能力の発達が,障害予防においても重要であることが明らかになりつつある。こうしたスポーツ科学の最先端の理論を取り入れ,科学的知見を一般の子ども達にも応用していくことが可能であると考える。
本講演では,運動発達の未熟な子どもとジュニア競技者という二極化した子どもの現状について基本的運動能力の視点から捉え,子どもの運動器障害の予防について考えてみたい。
我々は,2013年度より小学生を対象とした基本的運動能力の縦断的調査を開始し,子どもの運動パターンの変化を観察してきた。基本的運動能力の低下だけでなく,運動パターンの未熟さが顕著になっており,身体の動かし方がわからない子どもが増えてきている。運動パターンが未熟な子どもの要因については,単一の問題があるわけではなく,様々な要素が複雑に絡んでいるため,効果的な介入方法について考えていくことが重要である。
一方で,2020年の東京五輪に向けたジュニア競技者の育成に関する障害予防についても考えていく必要がある。カナダやオーストラリアなどのスポーツ医学先進国では,オリンピック選手の育成に向けて,長期アスリート育成理論やFTEMモデル(Foundation,Talent,Elite,Mastery)が提唱され,幼少期の基本的運動能力の重要性を説いている。基本的運動能力の発達が,障害予防においても重要であることが明らかになりつつある。こうしたスポーツ科学の最先端の理論を取り入れ,科学的知見を一般の子ども達にも応用していくことが可能であると考える。
本講演では,運動発達の未熟な子どもとジュニア競技者という二極化した子どもの現状について基本的運動能力の視点から捉え,子どもの運動器障害の予防について考えてみたい。