[SN-4] 予防と理学療法 子どもの代謝の立場から
子どもの代謝の特徴は,生体機能的に成人に比べ成長に必要な身体組成を満たすために成人より代謝回転率が速い点にある。子どもの栄養補給は成人の体重比に応じた単純な1次方程式が当てはまらない。子どもの発達や成長を考慮した,成人とは別の身体活動定量化研究が求められる。我が国の栄養所要量は昭和34年に総理府科学技術庁資源調査会から発表され,翌35年厚生省も採用し,今日に及んでいる。この取り組みから55年以上経過した現在では,日本に限らず栄養をめぐる環境が変化している。子どもの栄養不足と同時に,肥満の増加への対策が,国際的な公衆衛生の課題になっている。
この講演では,一般的な小児期の肥満の問題を取り上げ,生涯の健康支援に役立てるための情報を共有したい。前半では,欧州で2014年に発表されたIDEFICS(児童および幼児の食生活および生活習慣に起因する健康への影響の特定および予防研究)を概観する。後半では,我々が取り組んでいる日本人における研究と対にして,子どもの肥満を改善する現時点で考えうる方法の一つを提言する。
本講演の軸となる研究であるIDEFICSは,6か国,18745人の2歳から10歳の子どもの疫学研究であった。アウトカムとして研究期間中の達成度が評価された。砂糖を含む飲料に代わる水分消費量の増加達成率,果物/野菜の消費量の増加率,1日単位あたりの座位時間の短縮,毎日の身体活動の増加,適切な睡眠期間が調べられた。国際的に推奨される基準を適用して,これらの目標を達成した国別の子どもの達成率が明らかになった。
そして,我々の後方視コホート研究の一つ,日本人の青年における出生時から学童期,思春期を経た青年期までの体重の推移を調べ,身体活動及び食事摂取の内容との関連性の解析結果を示す。IDEFICSの結果を参照し,子ども時代の代謝状況の何が,20歳時の肥満症に高い確率的な関係をもたらすか,線形混合モデルを用いて予防要因を例示する。
この講演では,一般的な小児期の肥満の問題を取り上げ,生涯の健康支援に役立てるための情報を共有したい。前半では,欧州で2014年に発表されたIDEFICS(児童および幼児の食生活および生活習慣に起因する健康への影響の特定および予防研究)を概観する。後半では,我々が取り組んでいる日本人における研究と対にして,子どもの肥満を改善する現時点で考えうる方法の一つを提言する。
本講演の軸となる研究であるIDEFICSは,6か国,18745人の2歳から10歳の子どもの疫学研究であった。アウトカムとして研究期間中の達成度が評価された。砂糖を含む飲料に代わる水分消費量の増加達成率,果物/野菜の消費量の増加率,1日単位あたりの座位時間の短縮,毎日の身体活動の増加,適切な睡眠期間が調べられた。国際的に推奨される基準を適用して,これらの目標を達成した国別の子どもの達成率が明らかになった。
そして,我々の後方視コホート研究の一つ,日本人の青年における出生時から学童期,思春期を経た青年期までの体重の推移を調べ,身体活動及び食事摂取の内容との関連性の解析結果を示す。IDEFICSの結果を参照し,子ども時代の代謝状況の何が,20歳時の肥満症に高い確率的な関係をもたらすか,線形混合モデルを用いて予防要因を例示する。