[SP-3] スポーツ科学を利用した競技復帰―トレーニング動作と筋活動―
怪我や病気等に伴う不活動は骨格筋の機能低下や筋萎縮を引き起こすことは良く知られている。特に大腿四頭筋や下腿三頭筋において,それが顕著に表れることはこれまで多くの研究で示されてきた。本講演では宇宙飛行,ベッドレスト,免荷モデルなどの実験モデルや半月板損傷などの整形外科的疾患により不活動を強いられた被検者を用いて,身体不活動が下肢の様々な筋群にどの程度の筋萎縮が生じるのか,また筋機能の変化がどの程度生じるのか等について概説する。特にリハビリの分野で一般的に信じられている,大腿四頭筋における内側広筋の特異的な萎縮に関して否定的な知見についてもデータを示しながら紹介する。また,大腿四頭筋の4つの全ての筋頭から,表面筋電図を記録して,膝伸展運動時における神経筋活動の様相について紹介する。以上のような知見から,本公演では,不活動から競技復帰する際の判断材料となるような基礎的な知見を主にスポーツ科学的観点から提示する。