The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本スポーツ理学療法学会企画 » シンポジウム

[SP-4] シンポジウム スポーツ科学を利用した競技復帰―競技別―

Sat. May 13, 2017 10:50 AM - 12:20 PM B1会場 (東京ベイ幕張ホール No. 1・2)

座長:坂本 雅昭(群馬大学医学部保健学科理学療法学専攻), 座長:浦辺 幸夫(広島大学大学院医歯薬保健学研究院)

日本スポーツ理学療法学会企画

[SP-4-1] 陸上競技

岡戸 敦男 ((公財)スポーツ医・科学研究所スポーツリハビリテーション科)

陸上競技は,スポーツ科学の知見を活かしつつ,記録が更新され,競技自体の進歩につながってきた歴史がある。競技力向上を目的として,主に運動学,運動力学,運動生理学に関する科学的研究が盛んに行われてきた。

演者は,陸上競技・長距離選手に関わる機会が多く,その経験に基づいて,スポーツ科学を活用した取り組みについてまとめてみたい。

陸上競技・長距離では,局所への力学的ストレスが繰り返し加わることによる慢性外傷(スポーツ障害)が多く発生する。長距離選手の理学療法では,患部周囲の機能改善はもちろんのこと,発症に関係するストレスの考察から,ランニング動作へのアプローチが必須となる。動作は,全身持久力(以下,持久力)の低下により問題を呈することも多く,競技パフォーマンス向上の目的も含めて,持久力の維持・向上も重要になる。

ランニング動作の分析は,映像分析ソフトなどを用いて関節角度などを定量化することにより,動作の問題点を洗い出すのみでなく,理学療法による即時効果や経時的変化の確認にも活用される。最近では,タブレット端末などでも簡便に角度算出や比較などができるようになっている。

ランニング中止の期間には,下肢エルゴメーターなどを用いて持久力の維持・向上を図るが,パルスオキシメーターを用いて心拍数や酸素飽和度を計測することで,運動強度や経時的変化が把握でき,目的に応じた負荷設定がしやすい。また,通常の練習時心拍数の確認により,下肢エルゴメーター実施時の目標値設定に活用している。

最近では,GPS(Global Positioning System,全地球測位システム)を使用して,リハビリテーションプログラムの作成やランニング動作の指導も試行している。

このような内容について,スポーツ現場における長距離選手への対応の具体例を提示しつつ,スポーツ科学を利用した競技復帰について考えてみたい。