The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本スポーツ理学療法学会企画 » シンポジウム

[SP-4] シンポジウム スポーツ科学を利用した競技復帰―競技別―

Sat. May 13, 2017 10:50 AM - 12:20 PM B1会場 (東京ベイ幕張ホール No. 1・2)

座長:坂本 雅昭(群馬大学医学部保健学科理学療法学専攻), 座長:浦辺 幸夫(広島大学大学院医歯薬保健学研究院)

日本スポーツ理学療法学会企画

[SP-4-3] 飛込競技

成田 崇矢 (健康科学大学健康科学部理学療法学科)

飛込競技の10mの固定台からの演技では,入水時の衝撃はおおよそ400kg重と大きく,身体への負荷は大きくそれに伴う傷害が発生する。van Mechelen, et al.は,科学的根拠に基づく傷害予防を実践するためには,①傷害調査を実施し,外傷の発生率と重症度を把握する。②傷害調査の結果を基に,傷害の原因と受傷機転,傷害のリスクファクターを把握する。③傷害のリスクファクターに対し,予防法を導入する。④再度,傷害調査を行い予防策の効果を検証する,4段階で実施することを提唱している。

我々は,この障害予防モデルに従い,飛込選手の競技復帰,障害予防アプローチを行って来た。

①飛込競技全日本ジュニア強化合宿に参加した男性60名,女性56名,合計116名の傷害発生状況を調査した。結果,飛込選手では腰痛有訴者が多く,特に伸展時痛を有する者が多かった。傷害発生場面では,入水時の腰椎過伸展により腰痛を発症している者が多かった。
②ジュニア飛込選手男子42名,女子41名において,様々な身体特性,技術特性のパラメータを独立変数として,腰痛に関連する因子をロジスティック回帰分析により検討した。その結果,男子選手は年齢,肩回旋幅(肩関節可動域の指標),女子選手は年齢が腰痛危険因子であった。また,男子選手13名の飛込競技後方1/2回転蝦型(201B)における入水時アライメントと肩関節可動域との関連を検討した。その結果,入水時の肩関節屈曲角度と体幹伸展角度の間に負の相関を認め,入水時の肩関節屈曲制限が腰椎前弯角度の増大に関与していることが明らかになった。
③飛込選手の腰痛には,肩甲帯の柔軟性が重要な事が明らかになったため,肩の柔軟性向上を目的としたプログラムを作成し,競技復帰や障害予防を行った。
④現在,ジュニア合宿参加者の腰痛有訴者の減少を認めている。

これらの取り組みの紹介と実際について報告する。