The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会企画 » 特別講演

[TK-2] 特別講演 災害リハビリテーション支援~リハビリ専門職の役割:求められる視点~

Sat. May 13, 2017 9:30 AM - 10:30 AM A2会場 (幕張メッセ国際会議場 国際会議室)

司会:小川 克巳(日本理学療法士協会)

日本地域理学療法学会企画

[TK-2] 災害リハビリテーション支援~リハビリ専門職の役割:求められる視点~

栗原 正紀1,2 (1.長崎リハビリテーション病院, 2.大規模災害リハビリ支援関連団体協議会(JRAT)代表)

超高齢社会を迎えた我が国においては従来からの救命救助を主たる任務として原則,発災から72時間以内に活躍するDMAT(災害派遣医療チームDisaster Medical Assistance Team)やその後の災害救護を担い,地域医療を支えるJMAT(日本医師会災害医療チーム:Japan Medical Association Team)のみでは,災害後の避難所生活において不自由な生活を強いられ,不動・不活発によって徐々に生活機能が低下し,寝たきりになってしまう高齢・障害者の「生活不活発病(廃用)」を予防することは困難であり,ついにはそのことが“災害関連死”の要因となってしまうことが東日本大震災での大きな反省点として浮き彫りとなった。
これらの経験を基に,来る大規模災害に備えて,大規模災害リハビリ支援関連団体協議会(JRAT:Japan Disaster Rehabilitation Assistance Team)が結成され,熊本地震災害では全国規模で支援チーム派遣を行った。JRATの任務は避難所の環境整備,避難者の生活不活発予防および福祉機器導入に関する支援・助言を組織的・継続的に実施することで被災者の自立生活支援と早期復興を目指すことにある。
平時においては都道府県毎に地域リハビリ支援体制に組み込まれた形での災害リハビリ支援の組織化(地域JRATの設立とチームの育成:医師・看護師・リハビリ専門職など関連職種で構成)そして教育・啓発活動が望まれる。
地域包括ケア時代を目指して,急性期(救急)から地域生活支援に至るまで多職種協働の下で,幅広く適時・適切なリハビリサービスが提供されることで,どのような重度障害があったとしても地域社会の一員として尊厳が遵守され,可能な限り自立した生活を互いに大切にする支え合うコミュニティーづくりにリハビリ専門職が関わっていくことが望まれる。このことが災害リハビリ支援にとって非常に重要な学び・教訓を与えることになる。