第52回日本理学療法学術大会

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[TK-3] シンポジウム 災害時のリハビリテーション~熊本地震で理学療法士はどのように取り組んできたか~実践と提言

2017年5月13日(土) 10:50 〜 12:20 A2会場 (幕張メッセ国際会議場 国際会議室)

座長:田中 康之(千葉県千葉リハビリテーションセンター地域連携部地域支援室)

日本地域理学療法学会企画

[TK-3-1] 災害時のリハビリテーション~熊本地震で理学療法士はどのように取り組んできたか~実践と提言

三宮 克彦 (熊本機能病院総合リハビリテーション部)

筆者は熊本地震において,大規模災害リハビリテーション(以下,リハ)支援関連団体協議会(JRAT:Japan Rehabilitation Assistance Team)の現地調整本部長を拝命し活動した。JRATは東日本大震災時にリハ支援を行った東日本大震災リハ支援関連10団体を前身としたもので,発災後から初期修復期にかけては避難所等の住環境整備やDVT予防のための運動指導など,復旧期では生活不活発病予防対策などが主な活動である。

4月14日21時26分,発災(のちの前震)時筆者は熊本総合医療リハ学院で熊本県理学療法士協会理事会の最中であった。突然の揺れに会議室の天井と壁が段ボールを歪めては戻るような状況に身がすくんだ。会議は中止となり,家族の無事を確認したのちに職場へと急いだ。患者や職員の安全を第一に夜中まで院内を奔走した。15日14時にJRAT東京本部とJRAT熊本(現地)本部を立ち上げ,発災後急性期から支援準備を開始した。16日未明の本震により一時大混乱となったが,22日には熊本県庁内の医療救護調整本部内にJRAT調整本部を設置することができた。これにより他の団体との情報共有と協同が可能となり,JRATによる被災者の生活不活発病予防のための活動がスムーズにできるようになった。

避難所支援はJRATとしての活動が終了する7月16日までに医師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を中心に42県から約1800名を動員した。現在の被災者支援としては熊本県と熊本県医師会が中心となり熊本県復興リハセンターとして,県内のリハ施設により避難所における介護予防活動が展開されている。

災害時のリハにおいては,災害の規模,発災からの期間(フェーズ),インフラやライフラインの復旧状況等の変化に合わせて,柔軟な対応が必要であり,地域リハの目的である自立支援を包括的に作り上げていく必要性を感じている。シンポジウムでは活動経験を通して,災害時における理学療法士の活動と課題について報告する。