第52回日本理学療法学術大会

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日本地域理学療法学会企画 » シンポジウム

[TK-3] シンポジウム 災害時のリハビリテーション~熊本地震で理学療法士はどのように取り組んできたか~実践と提言

2017年5月13日(土) 10:50 〜 12:20 A2会場 (幕張メッセ国際会議場 国際会議室)

座長:田中 康之(千葉県千葉リハビリテーションセンター地域連携部地域支援室)

日本地域理学療法学会企画

[TK-3-2] 周辺地での実践と気づき

河添 竜志郎 ((株)くますま)

地震などのような大規模災害では,激震地に対する支援体制については様々な報告やマニュアル等が見受けられるが,倒壊住宅も少なく一部損壊や住宅内の家具や家財道具等の散乱,ライフラインの一部停止などといった周辺地への支援についての実態の報告やマニュアル等は非常に少ない。災害マニュアル等をみても激震地モデルで語られることが多い。しかし,実際の地震災害では震源から離れることで被害の状況も変化してくる。

今回平成28年4月の熊本地震において,震源地から直線で8km離れた場所で在宅サービスを営んでいる立場から,在宅サービス利用者や関連職種,地域住民などへの支援体制を構築し実践してきた。特に周辺地では発災直後は在宅生活者にとって,片づけやライフラインの確保によって避難所に行くこともなく生活を送ることが可能な場合もある。それによって,激震地の住民も遠隔地へ避難することがないばかりか,密集した避難所に集まることも減るかもしれない。実際に災害時の理学療法士の支援の役割は発災直後には少なく待機を求められることも多い。このようなときにこそフェイズの違う周辺地へ支援を開始し,激震地支援の後方支援をすることが大切と感じた。また,被害者心理の変化では発災直後から茫然自失期,ハネムーン期,幻滅期へと移行するといわれている。ハネムーン期の反動に伴う大きな幻滅期に入るとそこを抜け出すことはかなり大変となる。そのためにはハネムーン期を作らないように茫然自失期の早期からリハビリテーション専門職として支援することで大きな幻滅期へと向かわない支援が大切だと感じた。

筆者自身も平成7年の阪神淡路大震災でも被災し,兵庫県理学療法士会の事務局として支援に関わった。今回居住地での2度目の被災を通して,今後各地で起きうるであろう大規模災害時の気づきの一助となるべく,支援時の考え方や実践を報告する。