The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会企画 » 教育講演2

[TK-4] 教育講演2 これからの地域を担う理学療法・士に必要な視点 ~今まで,そしてこれからも~

Sun. May 14, 2017 12:30 PM - 1:30 PM A2会場 (幕張メッセ国際会議場 国際会議室)

司会:隆島 研吾(神奈川県立保健福祉大学理学療法学専攻)

日本地域理学療法学会企画

[TK-4] これからの地域を担う理学療法・士に必要な視点 ~今まで,そしてこれからも~

鶴見 隆正 (湘南医療大学リハビリテーション学科理学療法学専攻)

わが国の理学療法士制度の源流の一つには,1963年5月に開学した国立療養所東京病院付属リハビリテーション学院の第一期生卒業時に遡ることができる。それから52年間が経過した今日の理学療法士界において,臨床領域,教育そして研究活動がどのような変遷と進化を遂げて,今日に至ったのかを振り返ることはこれからの理学療法士界の未来を拓くことに繋がる。
黎明期の理学療法士臨床現場は,労災病院や肢体不自由児施設,公立病院など限られた医療機関に従事し,身体機能の改善の運動療法にウエイトが置かれていたが,今やクリニックから通所リハ施設や訪問リハまで国民ひとり一人の生活行動に寄り添うところまで拡大している。それだけに理学療法士界は,クライエントのICFを重視した地域理学療法に心がけて,国民生活の期待に応え貢献する責務があると言える。
地域理学療法に関する研究発表の歩みは,脳卒中患者の退院後の生活状況の郵送アンケートから始まるが,その後の質的・量的な大きな転換期となったのは「老人保健法」制定(昭和57年)前後からであり,医療と行政サイドとの連携も深まって理学療法士が積極的に住民の健康増進に寄与する契機となった。今日では地域包括ケア病棟に関するものから地域再興に向けた取り組みなど幅広い領域での地域理学療法が探究されている。
このように理学療法士界52年の臨床・教育・研究領域は,飛躍的に進化して社会的にも認知されるようになったことは喜ばしいことだが,同時にこれまで理学療法士が延々とたいせつに育んできた理学療法・士マインドが根底にあることを忘れてはならない。クライエントの多様な課題に対してひた向きに取り組むことが,累計約13万人体制の理学療法士界の役割のように感じる。これまでの理学療法士界の「来し方」を踏まえながら超少子高齢社会における地域理学療法・士の視点とあり方について,「継往開来」の想いで講演したい。