[YB-3-2] 心疾患におけるフレイル対策
近年,加齢,高齢というキーワードだけでなく,フレイル(虚弱),サルコペニア(加齢性筋肉減少症)という概念が提唱され,高齢心疾患患者の再入院や再発に関する予後の規定因子となっている。心不全患者の2年間の追跡調査では,フレイルを有する群で救急要請リスクが92%,再入院リスクが65%上昇したことが報告されている。
フレイルやサルコペニアを呈する原因は,安静や労作時息切れに伴う低活動から生じるdeconditioningだけではない。心疾患,特に心不全を発症することで生じる末梢骨格筋の組織学的変化による骨格筋異常や筋肉が消耗しやすい状態(muscle wasting)なども要因となっている。しかし,筋力低下に対して筋力増強運動といった短絡的な思考プロセスではフレイル改善に至らない。高齢心疾患患者への運動療法の目的は,筋力にとどまらずバランス機能や歩行機能,ADL能力の改善が求められる。高齢者に対するレジスタンストレーニングのコクランレビューでは,運動耐容能のみならずバランスや歩行速度,健康関連QOLの改善が報告されている。骨格筋の障害は,筋力なのか,筋パワーなのか,筋肥大なのかによって運動療法の目的が変わってくる。アメリカスポーツ医学会(American College of Sports Medicine)が提唱した目的別トレーニングプロトコルなどを参考にし,個々に応じた運動療法の選択ならびに心疾患に適応できるかをモニタリングすることが理学療法士には求められている。
本セッションでは,心疾患患者に対する運動療法の選択について自験例を紹介しながら議論していきたい。
フレイルやサルコペニアを呈する原因は,安静や労作時息切れに伴う低活動から生じるdeconditioningだけではない。心疾患,特に心不全を発症することで生じる末梢骨格筋の組織学的変化による骨格筋異常や筋肉が消耗しやすい状態(muscle wasting)なども要因となっている。しかし,筋力低下に対して筋力増強運動といった短絡的な思考プロセスではフレイル改善に至らない。高齢心疾患患者への運動療法の目的は,筋力にとどまらずバランス機能や歩行機能,ADL能力の改善が求められる。高齢者に対するレジスタンストレーニングのコクランレビューでは,運動耐容能のみならずバランスや歩行速度,健康関連QOLの改善が報告されている。骨格筋の障害は,筋力なのか,筋パワーなのか,筋肥大なのかによって運動療法の目的が変わってくる。アメリカスポーツ医学会(American College of Sports Medicine)が提唱した目的別トレーニングプロトコルなどを参考にし,個々に応じた運動療法の選択ならびに心疾患に適応できるかをモニタリングすることが理学療法士には求められている。
本セッションでは,心疾患患者に対する運動療法の選択について自験例を紹介しながら議論していきたい。