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[K1-01] ICT/ロボットを使った転倒予防
転倒は抗重力的な姿勢をとって生活していく上で避けられない事象だが、特に人間は二足歩行をする動物であり、その重心点が高い位置にある割にはバランスを保つ支持基底面が狭いため転倒する頻度が高くなる。高齢者では加齢に伴って反応時間が遅くなり,筋力も低下していくことから、転倒して受ける外力に対する防衛機転が十分に働かず、骨折などの重大な損傷を招く危険性がある。転倒は心理的な負担も増大させ、転倒恐怖につながっていく。加齢に伴うバランス能力の低下から始まり、転倒→転倒恐怖→低活動→筋力低下→さらなるバランス能力の低下という、フレイルを助長する悪性サイクルの回路も想定できる。このため高齢者における転倒は積極的に予防されるべきものである。その対策は普通の生活で起こる一般転倒と入院という特殊な状況下で起こるいわゆる病院転倒に分けて考えられるべきであり、それぞれに対して転倒リスクの見積もりと状況に応じた対応が取られるべきなのであるが、必ずしもそうではない。前者ではフレイルや多剤投与などのリスク因子を早めに検出しバランス能力を底上げする必要があるし、後者では、バランス能力と高齢者特有の頑固さ、介護に対する過度の遠慮、夜間排尿時にナースコールを押すことなどのadherenceに関わる評価が必要である。今回は1) Standing test for imbalance and disequilibrium :SIDEを使った病院転倒における転倒リスクの評価、2) センサー、見守りシステムの利用方法および人工知能などを使った今後の開発の方向性、3)一般転倒予防を目的としたフレイルに対するバランス訓練ロボットの適応、4)大腿骨近位部骨折の再骨折予防におけるバランス訓練ロボットの適用、5) 杖・歩行器ロボットの開発とその適用範囲および実証方法などについて概説する。