第6回日本地域理学療法学会学術大会

講演情報

教育講演

教育講演5

[K5] 教育講演5

2019年12月15日(日) 12:30 〜 13:30 第2会場 (東館2階 セミナー室)

重症心身障害児の発達とその障害への対応 
講師:榎勢道彦
司会:鶴谷啓明

12:30 〜 13:30

[K5-01] 重症心身障害児の発達とその障害への対応

*榎勢 道彦1 (1. 四天王寺和らぎ苑)

医療的ケアを必要とする子どもの数はこの10年間で2倍に増加しており、その中でも在宅人工呼吸器を必要とする子どもの数は10倍に増加している。訪問診療や訪問看護、訪問介護、ショートステイ等、子どもと家族の在宅生活を支える地域ケアシステムの整備が進められるとともに、子どもの「発達」を保障するリハビリテーションや児童発達支援の充実が求められている。
 生まれてから就学までの6年間におけるリハビリテーションの目標は、学校という社会(訪問学級も含めて)に、両親が安心して子どもを託すための支援を達成することと考える。そのために、子どもに対しては、様々な生活環境への適応能力の発達を促進する必要がある。活動と参加の継続を保障するための呼吸機能を中心とした生理的機能と、様々な感覚的経験を保障するための介助や姿勢保持具に適応できる姿勢運動機能の発達を促進することを、治療的介入とともに道具の工夫などの環境支援を通して、発達の「根」を育む視点でリハビリテーションを展開する。また、両親に対しては、重症心身障害のある子どもたちが示すわずかな機能的変化(成長)を伝え、両親が育児としての成功、親の役割の実感を得られるよう支援する。
 このことを踏まえ、本講演では事例を交えて、(1)呼吸機能の発達とその障害への対応として、「気道」「肺容量」「ポンプ機能」の三要素に基づいた病態評価と理学療法/ポジショニング、(2)姿勢運動機能の発達とその障害への対応として、運動発達理論に基づいた評価と理学療法/ポジショニング、そして、(3)活動と参加の支援について、子どもの生活世界の中にある感覚に目を向けた活動支援の実際と参加の支援について紹介させていただきます。