17:10 〜 17:20
[N-05] デュシェンヌ型筋ジストロフィーの在宅療養者に対し訪問理学療法士が主体となり在宅療養支援に関わった一事例
~入院時から在宅復帰,共同作業所通所再開を通して~
キーワード:訪問理学療法士、在宅療養支援、多職種連携
【はじめに】今回,デュシェンヌ型筋ジストロフィー(以下,DMD)の在宅療養者に対し,入院時から在宅復帰および共同作業所(以下,作業所)通所再開までの,①退院調整,②住環境調整,③電動車椅子支給申請,④作業所通所再開調整を多職種と連携し行った.在宅療養支援において,訪問理学療法士が主体となり多角的に支援調整に関わる機会を得たため報告する.
【事例提示】事例はDMDの20台の男性,身長155.0cm,体重82.0㎏,機能障害度ステージ8で自立座位保持困難(厚生労働省研究班,新分類),身体障害者等級1級である.一日のほとんどをNPPVによる在宅人工呼吸器管理下で在宅療養していた.ADLは全介助,床上生活中心で就寝時は布団を使用し,食事・排泄・入浴姿勢は支持座位,移乗・移動は二人介助を要した.電動車椅子操作が可能で右手指にてコントローラを操作し呼吸器搭載下にて週6日作業所へ通っていた.2018年7月,呼吸器感染から急性呼吸不全となりA病院へ救急搬送,気管内挿管し人工呼吸器管理下にあったが抜管困難なため気管切開術を施行,TPPVへ移行した.同年8月B病院へ転院,右手指の筋力低下から電動車椅子操作が不可能となっていた.本人・家族の主訴は「入院前と近いかたちで,出来る限り自宅で生活していきたい.」であった.取り組みとして①退院調整では,本人・家族の主訴や退院後在宅療養に必要な医療情報・ADL・介護力等の情報提供,医療的ケアの情報共有および家族への共同指導,B病院への移乗リフト導入と操作指導,試験外泊の提案,訪問入浴導入検討,②住環境調整では,住宅改修調整,日常生活用具の導入検討・給付申請,③電動車椅子支給申請では,顎操作への移行検討,操作能力評価,支給申請,④作業所通所再開調整では,作業所環境調査,急変時対応確認,職員への電動車椅子操作説明を行った.それぞれの支援調整は本人・家族,主治医,訪問診療医,退院支援看護師,病院理学療法士・作業療法士,ソーシャルワーカー,相談支援専門員,訪問看護師,訪問介護士,福祉用具相談員,工務店担当者,電動車椅子業者,市障害福祉担当者,身体障害者更生相談所職員,作業所職員と連携し協働した.
【結果】医療機関での治療・リハビリ加療を経て2018年10月初旬試験外泊を実施,同年10月中旬に在宅復帰,在宅支援サービス介入のもと在宅療養を継続し,2019年4月初旬試験通所を経て作業所への通所再開を果たした.
【結論】在宅療養支援において訪問理学療法士の役割は多岐にわたり,その特性を活かした関わりが重要視されている.また,専門分化した多職種が連携し協働していくことの重要性は周知ではあるが,今回,事例に対し早期より多職種・多機関による多角的な視点や意見を集約し,在宅療養に必要な支援調整を主体的に図ったことが,スムーズな在宅療養生活への移行に繋がったと考える.
【倫理的配慮、説明と同意】
本報告に際し,個人情報の保護およびプライバシーの保護に十分に配慮し,事例本人と家族に対して,書面と口頭にて発表の趣旨を説明し同意を得た.
【事例提示】事例はDMDの20台の男性,身長155.0cm,体重82.0㎏,機能障害度ステージ8で自立座位保持困難(厚生労働省研究班,新分類),身体障害者等級1級である.一日のほとんどをNPPVによる在宅人工呼吸器管理下で在宅療養していた.ADLは全介助,床上生活中心で就寝時は布団を使用し,食事・排泄・入浴姿勢は支持座位,移乗・移動は二人介助を要した.電動車椅子操作が可能で右手指にてコントローラを操作し呼吸器搭載下にて週6日作業所へ通っていた.2018年7月,呼吸器感染から急性呼吸不全となりA病院へ救急搬送,気管内挿管し人工呼吸器管理下にあったが抜管困難なため気管切開術を施行,TPPVへ移行した.同年8月B病院へ転院,右手指の筋力低下から電動車椅子操作が不可能となっていた.本人・家族の主訴は「入院前と近いかたちで,出来る限り自宅で生活していきたい.」であった.取り組みとして①退院調整では,本人・家族の主訴や退院後在宅療養に必要な医療情報・ADL・介護力等の情報提供,医療的ケアの情報共有および家族への共同指導,B病院への移乗リフト導入と操作指導,試験外泊の提案,訪問入浴導入検討,②住環境調整では,住宅改修調整,日常生活用具の導入検討・給付申請,③電動車椅子支給申請では,顎操作への移行検討,操作能力評価,支給申請,④作業所通所再開調整では,作業所環境調査,急変時対応確認,職員への電動車椅子操作説明を行った.それぞれの支援調整は本人・家族,主治医,訪問診療医,退院支援看護師,病院理学療法士・作業療法士,ソーシャルワーカー,相談支援専門員,訪問看護師,訪問介護士,福祉用具相談員,工務店担当者,電動車椅子業者,市障害福祉担当者,身体障害者更生相談所職員,作業所職員と連携し協働した.
【結果】医療機関での治療・リハビリ加療を経て2018年10月初旬試験外泊を実施,同年10月中旬に在宅復帰,在宅支援サービス介入のもと在宅療養を継続し,2019年4月初旬試験通所を経て作業所への通所再開を果たした.
【結論】在宅療養支援において訪問理学療法士の役割は多岐にわたり,その特性を活かした関わりが重要視されている.また,専門分化した多職種が連携し協働していくことの重要性は周知ではあるが,今回,事例に対し早期より多職種・多機関による多角的な視点や意見を集約し,在宅療養に必要な支援調整を主体的に図ったことが,スムーズな在宅療養生活への移行に繋がったと考える.
【倫理的配慮、説明と同意】
本報告に際し,個人情報の保護およびプライバシーの保護に十分に配慮し,事例本人と家族に対して,書面と口頭にて発表の趣旨を説明し同意を得た.