第6回日本地域理学療法学会学術大会

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一般口述

健康増進1

[O] 一般口述2

Sat. Dec 14, 2019 1:00 PM - 2:00 PM Room3 (East Building 2nd floor, Middle Conference Room)

座長:藤原 邦寛(あすかい診療所  通所リハビリテーション)

[O-010] 理学療法士が個人開催する介護予防事業『通いの場』の実践報告
地域で活かす専門性と役割を考えて

*片平 達也1、小泉 和哉2、村田 佳代1、安達 勇輝1、溪口 真衣3 (1. 医療法人財団樹徳会上ケ原病院、2. 介護老人保健施設陽喜な家、3. 医療法人社団和風会千里リハビリテーション病院)

Keywords:介護予防事業、市民公益活動、通いの場

【はじめに】超高齢化社会を迎えた我が国では健康寿命の延伸は最重要課題に位置付けられ、全国の自治体で介護予防事業が積極的に取り組まれている。中でも体操などの通いの場を開催している市町村は全体の86.5%に至り、91050カ所まで普及している(2017年度)。しかし、参加率は高齢者全体の4.9%と低い。通いの場は地域包括ケアシステムの互助に当たり住民主体で運営している。現段階では医師、保健師や理学療法士などの専門職が配置されていることは少ない。参加率の向上と専門職の介入による通いの場の機能向上は課題に挙がっている。そこで、リハビリテーション専門職(以下リハ職)が通いの場を主催することで身体に不安を抱える者など、新たな層の参加が期待できるのではないかと考えた。また、専門性を活かす手段を模索できる場が少ないため、通いの場を個人開催することにした。今回は、個人開催する上で生じた課題、工夫や経過を報告する。【実践内容】本事業は2017年1月から開始し、今回は2018年4月から2019年3月までの平成30年度豊中市市民公益活動推進助成事業に採択され活動した期間を報告する。活動内容はリハ職が運動指導を行う通いの場を月に1回開催した。参加者の募集は公共施設や関連施設にチラシを配布して行い、対象を60歳以上、定員30名、参加費を500円とした。運動内容は『歩行』などのテーマを決め、それに合った運動を立案し指導した。リハ職は各回3~4名参加し、前に出て実演する進行役を1名、他スタッフはフロアを回り運動指導を主とするアシスタント役とした。自主トレで継続できるよう資料を配布し、体操後はアンケート調査を行った。収支は参加費と助成金から成り、支出は協力者への交通費などの諸経費、チラシ印刷費、会場賃借費が主である。参加者に社会参加を促すため、関連施設から職員を招き介護予防事業などの紹介も行った。【結果】年間の総参加者数は205名で一回の平均参加者数は17.1名であった。年齢層は70代(42%)と80代(35%)が主であり、介護保険認定者は年間通して2名であった。運動に関するアンケート結果では、満足度が99%、自主トレできた者が84%、安心して運動できた者が97%であった。自由記載欄には、身体不調の訴えや健康相談が多く記入された。年間の総支出額は210,375円である。【考察】個人開催する際に課題となったのは参加者を集う広報手段と運営費用であったが、市の助成事業に応募し採択されたことで大幅に解決することができた。アンケート結果からリハ職が主催する通いの場は身体不調を抱える者が多く参加することがわかった。また、運動に対して良好な結果が得られたのは、日頃の臨床業務や経験が活かされやすいためと考えられる。個々の健康相談が多く寄せられたことからも、通いの場でリハ職の専門性を活かすには、いかに個人指導を受けやすい環境を作るかが重要になると実感している。

【倫理的配慮、説明と同意】
本事業の参加者・協力者に対し、事業内容、風景写真やアンケート結果を公開し報告する旨を口頭にて十分に説明し同意を得ている。