第6回日本地域理学療法学会学術大会

Presentation information

一般口述

健康増進1

[O] 一般口述2

Sat. Dec 14, 2019 1:00 PM - 2:00 PM Room3 (East Building 2nd floor, Middle Conference Room)

座長:藤原 邦寛(あすかい診療所  通所リハビリテーション)

[O-012] 要支援・軽度要介護高齢者に対する歩数増加を目的とした日課への介入効果

*安藤 卓1,2、樋口 由美1、北川 智美1、村上 達典1、藤堂 恵美子1、畑中 良太1、上月 渉1、永井 麻衣1、北村 綾子1、上田 哲也1 (1. 大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科、2. 藍野大学医療保健学部理学療法学科)

Keywords:要支援・軽度要介護高齢者、歩数、日課

【はじめに】要支援・軽度要介護高齢者の歩数を増加させることは、生活機能維持・向上の観点から重要である。介入の方法として筋力トレーニングを代表とする運動があるが、身体的に虚弱な高齢者においては,継続性の問題から効果が一定の見解を得ない。一方、日常生活に規律を持たせ、継続性を促す活動として日課がある。本研究は、日課および運動による介入を12週間行い、歩数増加に対する効果を検証することを目的とした。
【方法】研究デザインは12週間介入を行う比較臨床試験である。関西圏3ヶ所で通所介護施設を利用する65歳以上の高齢者46名を対象とした。取り込み基準は屋内歩行が自立、除外基準は要介護4、5、Mini-Mental State Examinationが24点未満、ペースメーカーを留置している者とした。基準を満たし介入を完遂できた36名(平均年齢84.5±6.0歳、女性28名、77.8%)を分析対象とした。方法は、基本属性(年齢、身長、体重、要介護度、結婚有無、同居家族有無)を実測・聴取し、対象者を施設利用曜日別に生活介入群(LI群)、自宅運動群(HE群)、対照群(CON群)に振り分けた。3群には通常の通所介護サービスが提供された。それに加えて、LI群には生活スタイルを問診・評価し、新たに提案した日課を実施させた。HE群には下肢の筋力増強練習やバランス練習を含む、自宅での自主トレーニングを指導した。両群ともに介入期間は12週間とした。介入の確認のために、カレンダーを対象者に配布し、実施の有無を記録してもらった。各群にはベースライン時、6週間後そして12週間後に歩数、Functional Independence Measure(FIM)、膝伸展筋力、Timed Up & Go(TUG)テストを測定した。歩数は、手関節装着型の身体活動量計を用い、8日間の連続データを計測した。歩数は、脱着日を除く6日間の連続データを分析に用いた。統計学的分析は、各アウトカムのベースライン時から6週間後および12週間後の変化率を算出した。3群間の変化率の比較には,Kruskal-Wallis検定およびχ2検定を用いた。有意差のある項目に対してBonferroni法で調整したMann-WhitneyのU検定を行い、効果量rを求めた。有意水準は5%未満とした。
【結果】LI群、HE群、CON群は各13名、10名、13名であった。遵守率はLI群76.4%、HE群69.3%であった。ベースライン時に3群間に有意な差はなかった。ベースライン、6週間後、12週間後の歩数の平均値(単位:歩/日)は、LI群1,592、1,778、1,830、HE群1,273、1,289、1,284、CON群1,540、1,333、1,110であった。変化率の3群比較では、LI群の12週間後の歩数に他の群と比して有意な向上が認められた(変化率LI:25.3%、HE:0.4%、CON:-21.9%、p=0.04、r=0.51)。FIM、膝伸展筋力、TUGの変化率には有意な差は認められなかった。
【結論】要支援・軽度要介護高齢者に対する12週間の日課への介入は、CON群に比して歩数を有意に増加させた。一方、運動による介入効果は認められなかった。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科研究倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号2019-119)。なお、対象者には本研究の趣旨を口頭および書面で説明し、同意を得た。また、手の不自由さがあり、書面にて同意が得られない者は、家人の代筆をもって同意ありとした。