第6回日本地域理学療法学会学術大会

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一般口述

健康増進2

[O] 一般口述4

Sat. Dec 14, 2019 2:10 PM - 3:10 PM Room3 (East Building 2nd floor, Middle Conference Room)

座長:竹林 秀晃(土佐リハビリテーションカレッジ 理学療法学科)

[O-020] 主観的健康感が低下した若年・中高年層地域住民の健康関連QOLに対する身体活動量の関連

*北川 智美1,2、樋口 由美1、安藤 卓1、村上 達典1、上田 哲也1、藤堂 恵美子1、畑中 良太1、永井 麻衣1、上月 渉1、北村 綾子1 (1. 大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科、2. 四條畷学園大学リハビリテーション学部)

Keywords:健康関連QOL、身体活動量、主観的健康感

【はじめに・目的】主観的健康感(以下、健康感)や健康関連QOL(HR-QOL)は身体機能や死亡率とともに身体活動量との関連が示されている。高齢期の健康感やHR-QOLを維持・向上するためには、その前段階である若年・中高年者への取組みが欠かせない。そこで本研究は、健康感が低下した若年・中高年層の地域住民を対象に、HR-QOLと身体活動量との関連を検討することを目的とした。
【方法】2013年6~7月に大阪府南部A市一地区の全3,301世帯に無記名自記式の質問紙を2部ずつ配布し、900世帯(1497部)の回答を得た(回収率27.3%)。健康感の回答は「非常に良い・健康なほうだと思う・あまり健康ではない・健康ではない」の4選択肢を用いた。HR-QOLはMOS 8-Item Short-Form Health Survey日本語版(SF-8)にて評価し、身体的サマリースコア(PCS)と精神的サマリースコア(MCS)を算出した。身体活動量は国際標準化身体活動質問票(IPAQ)で評価し、総身体活動(METs・分/日)と座業時間(分/日)を算出した。分析対象は、介助なしに1人で歩けると回答した20~65歳未満の男女のうち、健康感の質問に「あまり健康ではない」または「健康ではない」と回答した者を健康感が低い者として分析した。分析は、男女別にHR-QOL(PCS、MCS)と身体活動量(総身体活動、座業時間)とでSpearman相関分析を行った。その他の変数(年齢、BMI、教育歴、睡眠時間)についても各々相関分析を行った。統計学的有意水準は5%未満とした。
【結果】有効回答が得られた介助なしに1人で歩ける20~65歳未満の者529名(男性223名、女性306名)のうち、分析対象者は、男性42名(18.8%)、女性45名(6.8%)であった。SF-8の中央値(四分位範囲)は、男性PCS48.9(44.8-54.4)・MCS44.1(39.3-49.4)、女性PCS45.6(38.3-50.0)・MCS45.4(41.1-49.0)であり、すべての中央値で国民標準値を下回っていた。総身体活動と座業時間は、男性144.4(21.2-384.4)METs・分/日と300.0(180.0-600.0)分/日、女性113.1(35.4-316.7)METs・分/日と240.0(180.0-600.0)分/日であった。女性においてPCSは座業時間(r=0.39)、年齢(r=-0.43)との間に有意な関連を認めた。さらにMCSと座業時間(r=-0.30)との間にも有意な関連を認めた。男性では、いずれの変数もPCS・MCSと有意な関連を認めなかった。
【結論】健康感が低い女性では、長い座業時間とPCS、短い座業時間とMCSに有意な弱い相関がみられた。健康感が低い若年・中高年女性のHR-QOLの向上に対して座業時間を含めた影響を検討する必要があることが示唆された。

【倫理的配慮、説明と同意】
全対象者には質問紙郵送時に、研究への協力は自由意志によることを紙面上にて説明し、記入および回収への協力により調査に同意したとみなした。また、質問紙の返却は戸別封筒による郵送とし、質問紙を取り出した後すぐに封筒は処分し、個人が特定されることのないように配慮した。本研究は本研究科の研究倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号2012-PT12)。