第6回日本地域理学療法学会学術大会

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一般口述

健康増進2

[O] 一般口述4

Sat. Dec 14, 2019 2:10 PM - 3:10 PM Room3 (East Building 2nd floor, Middle Conference Room)

座長:竹林 秀晃(土佐リハビリテーションカレッジ 理学療法学科)

[O-022] 地域在住高齢者に対する10週間のパワリハ教室の効果検証
~身体機能ならびに基本チェックリストの変化~

*江頭 稔1、鳥居 和雄1 (1. 医療法人社団 輝生会 船橋市リハビリセンター)

Keywords:地域在住高齢者、パワーリハビリ教室、基本チェックリスト

【はじめに、目的】
当センターでは、平成26年度から船橋市より指定管理を受け、市内在住の65歳以上高齢者(または要介護認定を受けた40歳以上の方)を対象に介護予防を目的としたパワーリハビリ教室(以下、パワリハ教室)を行っている。パワリハ教室は船橋市の広報にて年4回参加者を募集し、各15名定員で週2回(1回90分)・10週間(全22回)のマシントレーニングを中心とした運動教室を行っている。パワリハ教室では負荷量の設定や操作方法を随時スタッフが介入・指導を行い、運動だけではなく徐々に操作も自立できるよう自立支援を意識した関わりをしている。予防領域において専門職が関わっていくことで、身体機能の向上に関する報告はこれまでも多くみうけられるが、精神・心理的な変化である本人の自己効力感に関する効果検証の報告は少ない。今回はパワリハ教室の開始時と終了時に測定している身体機能評価ならびに自己効力感の変化として基本チェックリストの変化を比較し、その効果を検証。本事業の意義を確認し、日々の業務を振り返り、よりよいサービス向上につなげることを目的とした。
【方法】
対象は2017年4月~2019年3月までのパワリハ教室参加者120名のうち10週間継続して教室に参加することが出来、開始時と終了時の評価が可能であった105名。評価内容は厚生労働省の介護予防事業マニュアルに則り、身体機能評価として①握力、②TUG、③5m快適歩行、④5m最速歩行、⑤片脚立位保持の5項目、自己効力感の変化として基本チェックリスト25項目を測定した。効果判定として①~⑤の身体機能評価は対応のあるt検定、基本チェックリストはWilcoxonの符号順位和検定を用いて開始時と終了時の比較を行い、それぞれ有意水準は5%とした。
【結果】
身体機能の変化として、5項目すべてで開始時と終了時で有意な改善がみられた(p<0.05)。基本チェックリストの変化としては、日常生活関連動作(IADL)、運動器機能、閉じこもり、うつの4項目で改善がみられた(p<0.05)。地域在住の一般高齢者に対してパワリハ教室を実施することで、純粋なマシントレーニングによる身体機能の向上だけではなく、外出する習慣や、動きやすさを自覚すること、10週間共に運動をすることでの仲間意識が芽生えることなど、自己効力感の変化が身体機能や日常生活関連動作の向上に影響している可能性が考えられた。
【結論】
専門職が予防事業に関わり負荷量の調整や運動指導を行うことで、身体的・精神的な向上から自立支援を促せる可能性が示唆された。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に従い、船橋市リハビリセンター倫理委員会の承認を得て実施。