第6回日本地域理学療法学会学術大会

講演情報

一般口述

訪問・通所2

[O] 一般口述10

2019年12月15日(日) 09:30 〜 10:30 第2会場 (東館2階 セミナー室)

座長:平野 康之(東都大学 幕張ヒューマンケア学部 理学療法学科)

[O-055] 通所リハビリテーション利用者におけるFrenchay Activities Indexと身体機能の関係

*平井 智也1、重田 暁1、廣瀬 紀子1 (1. 北里大学北里研究所病院リハビリテーション技術科)

キーワード:通所リハビリテーション、身体機能、Frenchay Activities Index

【目的】
手段的ADL(IADL)の低下は活動性の低下や寝たきりに繋がるため,IADLの維持や改善は重要とされる.IADLと身体機能の関係が報告されているが,老研式活動能力指標やLawtonのIADL尺度を用いた報告がほとんどである.本研究は通所リハビリテーション(通所リハ)利用者におけるFrenchay Activities Index(FAI)の改善に身体機能が及ぼす影響を検討した.
【方法】
2015年1月から2018年5月の間に北里大学北里研究所病院に通所リハを利用し,6ヶ月以上継続した97例を対象とした.調査測定項目は患者背景因子として年齢,性別,介護度,IADLとしてFAI,身体機能として等尺性膝伸展筋力体重比(膝伸展筋力),握力,快適および最大歩行速度,Short Physical Performance Battery(SPPB),Timed Up & Go test(TUGT)とした.通所リハ開始時に調査測定項目を評価し,FAIと身体機能は6ヶ月後にも評価した.
通所リハ開始から6ヶ月後のFAIの変化率を算出し,維持または改善した者をFAI改善群(N=51,80.9歳),低下した者をFAI低下群(N=46,80.0歳)に分類した.各群の特徴を横断的に調査するため,通所リハ開始時の調査測定項目と6ヶ月時のFAIおよび身体機能をx2検定と対応のないt検定を用いて比較した.次にFAIの変化と身体機能の変化との関係を調査するため,身体機能の変化率(Δ)をそれぞれ算出し,対応のないt検定を用いて比較した.有意水準は5%未満とした.
【結果】
結果はFAI改善群vs FAI低下群で記載した.通所リハ開始時の患者背景因子,FAI(17.6点vs 18.9点),膝伸展筋力(30.0% vs 29.7%),握力(18.4kg vs 18.3kg),快適歩行速度(0.9m/s vs 0.8m/s),最大歩行速度(1.1m/s vs 1.0m/s),SPPB(9.1点 vs 8.7点),TUGT(12.3秒vs 13.1秒)は2群間で差を認めなかった.一方,FAI改善群における6ヶ月時の膝伸展筋力(33.2% vs 29.4%,P=0.09),最大歩行速度(1.2m/s vs 1.0m/s,P=0.08),SPPB(9.7点vs 8.7点,P=0.06)はFAI低下群より高値である傾向で,TUGTは有意に低値を示した(11.2秒vs 13.9秒,P<0.05).また,FAI改善群のΔ快適歩行速度はFAI低下群より高値である傾向(10.7% vs 1.2%,P=0.05)で,ΔTUGTは有意に低値を示した(-6.9% vs 4.5%,P<0.01).
【結論】 FAI改善群はFAI低下群と比較して6ヶ月後の歩行速度とTUGTが改善していた.身体機能の中でも,筋力よりも歩行機能や機能的移動能力が改善することでFAIの改善に繋がったと考えられる.

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に則り,北里大学北里研究所病院研究倫理委員会の承認(承認番号:18034)を受けた後に実施した.また,本研究において収集された情報は通常の診療行為の過程で得られたものであり,個人情報の流出に十分に留意して実施した.