第6回日本地域理学療法学会学術大会

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一般口述

訪問・通所2

[O] 一般口述10

Sun. Dec 15, 2019 9:30 AM - 10:30 AM Room2 (East Building 2nd Floor, Seminar Room)

座長:平野 康之(東都大学 幕張ヒューマンケア学部 理学療法学科)

[O-058] 介護保険サービスから医療機関への情報提供書の記載内容に関する検討‐ICFに準じて‐

*大長 佳史1 (1. 社会医療法人三栄会 ツカザキ訪問看護ステーション網干)

Keywords:ICF、同職種間連携、情報提供書

【はじめに、目的】
近年、在宅医療・介護の情報提供の充実や医療・介護連携の推進が進められており、訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションなどの介護保険サービスの利用者が医療機関に入院した際、書面で情報提供をすることが多い。今回、医療機関で働くリハビリテーション専門職が情報提供書の内容について、どのような項目について詳細な情報提供を望んでいるか調査し、効率的、効果的な情報提供書の記載方法の検討を行ったので報告する。
【方法】
訪問・通所リハビリテーション計画書に記載された項目を抽出、一部修正した上で、アンケートを作成し、調査を行った。対象者はA病院の急性期病棟、回復期病棟、地域包括ケア病棟に勤務するリハビリテーション専門職76名とした。アンケートは、ICFに基づいた大項目(6項目)とそれに付随する小項目(57項目)については選択式、その他については自由記載で回答を得る構成とした。大項目は「健康状態・経過」「心身機能」「活動」「参加」「環境因子」「個人因子」の項目で、「詳しい記載がよい」「大まかな記載がよい」「記載は不要」から選択し、小項目は、「筋力低下の有無」「筋力低下の詳細」「ADL動作の自立度」「家族内での役割の内容」「経済状況」「生活歴・職歴」など、各項目についての情報が必要か否かを質問し、回答の割合を算定した。
【結果】
アンケートの回答を得たのは58名(回収率76.3%)で、職種は理学療法士36名、作業療法士15名、言語聴覚士7名であった。所属別では、急性期病棟45名、回復期病棟8名、地域包括ケア病棟1名、その他・無回答4名で、経験年数は6.0±4.6年であった。大項目は、「環境因子」のみ「詳細な記載」を望む項目が36名(62%)と多く、その他の大項目は、「大まかな記載」を望む項目が多い結果となった。小項目は、「家族協力の有無(介護力)」が55名(95%)と最も多く、次に「住環境(戸建て・手すり等)」が50名(86%)、「ADL動作の自立度」「家庭内での役割の内容」「一日の生活・余暇活動」がそれぞれ49名(84%)であった。自由記載では、早急な情報提供を望む意見や、要点のみをまとめた簡潔な情報提供を望む意見があった。
【結論】
医療機関で働くリハビリテーション専門職は、情報提供書の記載について大項目では、「環境因子」の情報について詳細な情報を望んでいることが示唆された。また、小項目については、「家族協力の有無(介護力)」、「住環境(戸建て・手すり等)」「ADL動作の自立度」、「家庭内での役割の内容」、「一日の生活・余暇活動」についての情報を望んでいることが示唆された。今後は、情報提供時における書式についても簡潔な記載方法を検討することが、早急かつ簡潔な情報提供に繋がっていくと考える。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は、アンケートの目的、意義、情報の取り扱いについて記載した上で、アンケートは無記名で行い、自由意志による調査協力と拒否の自由である旨を伝え、対象者へはアンケート回答をもって同意とした。