[O-066] 地域在住高齢者のプレフレイルと就労との関連について
キーワード:地域在住高齢者、プレフレイル、就労
【目的】
地域在住高齢者においてフレイルの前段階とされるプレフレイルは男女ともに50%前後が存在すると報告される。そのため、地域におけるポピュレーションアプローチを想定した場合に、プレフレイルを対象として就労・生活状況および運動・認知機能から背景要因を調査し、対策を啓発することは非常に重要であると考えられる。そこで本研究は、地域におけるプレフレイルの発生状況を調査し、プレフレイルに関連する要因を抽出することを目的とした。
【方法】
対象は地域在住者215名のうち、フレイル該当者および認知症患者を除く201名(平均73.1±6.5歳)とした。プレフレイルの判定は歩行速度低下(<1.0m/s)、筋力低下(握力:男性<26㎏、女性<18kg)、体重減少(6ヵ月で2~3㎏以上の体重減少)、易疲労感((ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする)、身体活動量低下(軽い運動・定期的な運動の非実施)の5項目の内,1項目以上に該当した者とした。
調査項目に関して就労・生活状況は質問紙調査にて実施した。実測調査は四肢骨格筋量および骨密度を測定した。認知機能は全般的認知機能をMini-Mental State Examination、注意機能をTrail Making Test-Aにて測定した。
統計学的検討は健常群とプレフレイル群の2群に分け単変量解析を行い、有意差を認めた項目にて多変量解析を行い性、年齢で調整したプレフレイルの独立関連因子を抽出した。
【結果】
201名を2群化したところプレフレイル群117名(58.2%)、健常群84名(41.8%)であった。なお、プレフレイル群117名のフレイル5項目の該当者は易疲労感54名(46.2%)、身体活動量低下50名(42.7%)、筋力低下23名(19.7%)、体重減少14名(12.0%)、歩行速度低下9名(7.7%)であった。次に、2群比較では就労者の比率がプレフレイル群36名(30.8%)、健常群15名(17.9%)と有意差が見られた。その他の調査項目に2群の有意差は見られなかった。プレフレイルの有無を従属変数とし、就労の有無を独立変数とした強制投入法によるロジスティック回帰分析を行ったところ就労者はオッズ比2.3(95%CI:1.1-4.7)と有意なプレフレイルの独立関連因子であった。
【結論】 本研究によりプレフレイルの発生要因として就労が関連していることが示唆された。特に、下位項目に着目すると易疲労感と身体活動量低下に該当する者が多かった。高齢就労者の身体活動量の増加や疲労回復促進の側面から、継続できる運動療法の紹介やセルフコンディショニングによる疲労回復方法の教示などを専門職として実施する必要性が高いと考えられた。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は大阪河﨑リハビリテーション大学研究倫理委員会の承認を得て実施し、参加者には書面と口頭にて説明を十分に行い、同意を得て実施した。
地域在住高齢者においてフレイルの前段階とされるプレフレイルは男女ともに50%前後が存在すると報告される。そのため、地域におけるポピュレーションアプローチを想定した場合に、プレフレイルを対象として就労・生活状況および運動・認知機能から背景要因を調査し、対策を啓発することは非常に重要であると考えられる。そこで本研究は、地域におけるプレフレイルの発生状況を調査し、プレフレイルに関連する要因を抽出することを目的とした。
【方法】
対象は地域在住者215名のうち、フレイル該当者および認知症患者を除く201名(平均73.1±6.5歳)とした。プレフレイルの判定は歩行速度低下(<1.0m/s)、筋力低下(握力:男性<26㎏、女性<18kg)、体重減少(6ヵ月で2~3㎏以上の体重減少)、易疲労感((ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする)、身体活動量低下(軽い運動・定期的な運動の非実施)の5項目の内,1項目以上に該当した者とした。
調査項目に関して就労・生活状況は質問紙調査にて実施した。実測調査は四肢骨格筋量および骨密度を測定した。認知機能は全般的認知機能をMini-Mental State Examination、注意機能をTrail Making Test-Aにて測定した。
統計学的検討は健常群とプレフレイル群の2群に分け単変量解析を行い、有意差を認めた項目にて多変量解析を行い性、年齢で調整したプレフレイルの独立関連因子を抽出した。
【結果】
201名を2群化したところプレフレイル群117名(58.2%)、健常群84名(41.8%)であった。なお、プレフレイル群117名のフレイル5項目の該当者は易疲労感54名(46.2%)、身体活動量低下50名(42.7%)、筋力低下23名(19.7%)、体重減少14名(12.0%)、歩行速度低下9名(7.7%)であった。次に、2群比較では就労者の比率がプレフレイル群36名(30.8%)、健常群15名(17.9%)と有意差が見られた。その他の調査項目に2群の有意差は見られなかった。プレフレイルの有無を従属変数とし、就労の有無を独立変数とした強制投入法によるロジスティック回帰分析を行ったところ就労者はオッズ比2.3(95%CI:1.1-4.7)と有意なプレフレイルの独立関連因子であった。
【結論】 本研究によりプレフレイルの発生要因として就労が関連していることが示唆された。特に、下位項目に着目すると易疲労感と身体活動量低下に該当する者が多かった。高齢就労者の身体活動量の増加や疲労回復促進の側面から、継続できる運動療法の紹介やセルフコンディショニングによる疲労回復方法の教示などを専門職として実施する必要性が高いと考えられた。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は大阪河﨑リハビリテーション大学研究倫理委員会の承認を得て実施し、参加者には書面と口頭にて説明を十分に行い、同意を得て実施した。