第6回日本地域理学療法学会学術大会

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一般口述

訪問・通所3

[O] 一般口述12

Sun. Dec 15, 2019 1:40 PM - 2:40 PM Room2 (East Building 2nd Floor, Seminar Room)

座長:滝本 幸治(奈良学園大学 保健医療学部リハビリテーション学科)

[O-068] 要支援者を対象とした転倒自己効力感からみた運動機能と身体活動量

*藤本 穂乃花1、小林 憲人2 (1. 医療法人社団 和敬会 みきやまリハビリテーション病院 デイケアみきやま、2. はくほう会医療専門学校赤穂校)

Keywords:要支援、通所リハビリテーション、転倒自己効力感

【はじめに、目的】
近年、通所リハビリテーションの卒業を促し、活動や参加に着目したリハビリテーションが推進されている(東京都理学療法士協会、2018)。卒業や活動と参加を目標とするうえで、転倒自己効力感は大きな障壁となる。転倒自己効力感が低下したために日常活動が制限される者の割合が高いことを報告している(金、2001)。このように転倒自己効力感は日常生活の活動を制限することが明らかにされている。転倒自己効力感に関して一般高齢者を対象とした報告は散見される。しかし、要介護者を対象とした報告は少ない。そこで本研究は、通所リハビリテーション(以下、通所リハ)利用の要支援者を対象に転倒自己効力感から運動機能と身体活動量について検討した。
【方法】
当通所リハを利用している要支援者41名(男性15名、女性26名、平均年齢78.3±7.9歳)を対象とした。転倒自己効力感は日本語版Fall Efficacy Scale(以下、FES)を使用し30点未満を不安感あり群、30点以上は不安感なし群と分類した。基本属性は、年齢・性別・身長・体重・BMI・介護度の6項目とした。運動機能評価は、握力、開眼片脚立位時間、Timed Up & Go Test (以下、TUG)、10秒椅子立ち上がりテスト(以下、CS-10)を測定した。認知機能にはMini-Mental State Examination (以下、MMSE)を用い、身体活動量の評価には、老研式活動能力指標を使用した。統計処理として、転倒自己効力感で「転倒不安感あり群」と「転倒不安感なし群」の2群に分け、Mann-WhitneyのU検定を用いて比較検討し、有意水準は5%未満とした。
【結果】
対象者の内訳は、転倒不安感あり群27名、転倒不安感なし群14名であった。対象群間の基本属性には有意な差は認められなかった。運動機能については、TUGは転倒不安感あり群(14.7±5.9秒)と転倒不安感なし群(10.5±2.9秒)であり、転倒不安感なし群が有意に速かった。身体活動量では、老研式活動能力指標は転倒不安感あり群(7.9±2.9点)と転倒不安感なし群(10.6±1.9点)であり、転倒不安感なし群の活動性が有意に高かった。(p<0.05)
【結論】 本研究の結果から当通所リハ利用の要支援者は、転倒不安感の有無がTUGや老研式活動能力指標において有意差を認めた。転倒不安感と関連する要因に身体機能が虚弱であること、社会活動が低いことなどが指摘されている(Howland、1998)。本研究でも歩行能力の低下と身体活動量の低下を認めた。また、外出を控える者と控えないものでは、筋力に差はみられないがTUGで差がみられる(金、2001)との報告もあり、転倒不安感が歩行能力や身体活動量に影響している可能性がある。転倒自己効力感の低下により、活動範囲が制限され、歩行能力が低下していく可能性も考えられる。今後、活動や参加を促し、通所リハの卒業に繋げるためには、運動機能の維持・向上だけではなく、転倒自己効力感の向上や身体活動量の向上などに着目した取り組みが必要であることが確認された。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は事前に研究の目的、方法、自由意志の尊厳、同意撤回の自由、個人情報の扱いに対して十分に説明し、書面にて同意を得た。