第6回日本地域理学療法学会学術大会

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ポスター

ポスター1

[P] ポスター1

Sat. Dec 14, 2019 3:20 PM - 4:20 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-05] 地域在住高齢者における活動範囲と運動習慣の傾向

*大崎 幸子1、伊豫岡 奈々1 (1. 医療法人社団 東京巨樹の会 みどり野リハビリテーション病院)

Keywords:運動習慣、LSA、高齢者

【はじめに、目的】
現在、当院では市の一般介護予防事業の一環として、近隣地域の各サロンに1団体につき2回/年の介護予防教室を行っている。事業開始3年目を迎えるが、教室の内容は一任されることが多く、対象者の活動量や運動習慣を踏まえた内容には至っていない。そのため、今回地域のサロンに参加している高齢者に対し、活動範囲や運動習慣など現状を把握することを目的とした。
【方法】
対象は当院で介護予防教室を行ったことのある近隣のサロンの参加者81名(男性:15名、女性:66名、平均年齢77.5歳)である。方法はアンケートにて聴取し、項目は事前に作成した質問用紙にて年齢・性別・屋外歩行や自宅での筋力トレーニング(以下、筋トレ)の実施の有無や頻度・量を聴取し、活動範囲についてはLife-Space Assesment(以下、LSA)を用いた。本研究では運動習慣の有無は参加者のアンケートでの自己申告であり、運動内容については屋外での歩行と自宅で行える筋トレとした。聴取したアンケートを基に歩行については連続での歩行時間を1時間以上群と1時間未満群に分け、また筋トレについては実施している群としていない群に分け、点数化したLSAを用いてそれぞれ比較・検討した。
【結果】
全対象のLSAの平均値は104.7点であった。全対象者の内、自宅で筋トレをしている群のLSA平均値は106.4点(48名)。筋トレしていない群のLSA平均値は102.1点(33名)。1時間以上の歩行群のLSA平均値は109.5点(34名)。1時間未満の歩行群のLSAの平均値は101.1点(47名)であった。また、1時間以上の歩行かつ筋トレしている群のLSA平均値は113.2点(18名)。1時間以上の歩行かつ筋トレしていない群のLSA平均値は105.4点(16名)。1時間未満の歩行かつ筋トレしている群のLSA平均値は102.2点(30名)。1時間未満の歩行かつ筋トレしていない群のLSA平均値は99.2点(17名)。
【結論】
それぞれの項目の比較では自宅での筋トレをしている人や1時間以上歩く人の方がLSAの点数が高い傾向にあることが明らかになった。また両群間の比較においては、1時間未満の歩行かつ筋トレしていない群より、1時間以上の歩行かつ筋トレしている群のLSA平均値の方が高い傾向にあった。これらのことから、筋トレや歩行のそれぞれでの効果判定までに至らなかったが、筋トレや1時間以上の歩行習慣のある人の方がそうでない人に比べLSAが高く、運動習慣の重要性が示唆された。厚生労働省は高齢者の運動習慣について、高齢者のADL障害をより効率的かつ効果的に予防するためには運動の種類・強度・時間・頻度などの条件を踏まえ運動習慣として長期的に実施することも有効であると述べており、今後の介護予防教室にて対象者の運動習慣など現状を把握した上で内容を検討していき、より効果的な関わりが出来るよう今後も取り組みたい。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき、対象者に報告の目的や趣旨、対象者個人が特定されないよう個人情報の扱いに十分配慮して行う旨を口頭にて説明し、同意を得た。