第6回日本地域理学療法学会学術大会

講演情報

ポスター

ポスター1

[P] ポスター1

2019年12月14日(土) 15:20 〜 16:20 ポスター会場 (東館3階 D会議室)

[P-07] 当院における簡易的転倒評価

*川鍋 和弘1、渡邊 直樹1、嶌野 敦子1、川島 明2、岩本 潤3 (1. 川島整形外科リハビリテーション科、2. 川島整形外科整形外科、3. 慶友整形外科病院骨関節疾患センター)

キーワード:簡易的転倒評価、転倒既往歴、運動機能評価

【はじめに・目的】
転倒予防に関する研究の進歩に伴い、転倒予防評価が数多く存在する。しかし、評価項目が多く時間もかかるため、高齢者において、すべての評価を実施することは難しい。
今回、短時間で効率よく転倒評価ができる簡易的評価法(5項目評価)を考案し、その有用性について検討した。

【方法】
対象は、調査に同意を得られた患者25名(女性19名・男性6名、平均年齢:75歳、範囲:65歳~88歳)である。中枢神経疾患は除外した。これを、転倒既往歴のある転倒群15名と、転倒既往歴のない非転倒群10名の2群に分けた。調査項目として、①評価表を作成し、他記式の質問紙法による転倒歴を調査し、②運動機能評価として、1)Timed Up and Go Test (TUG)、2)Functional Reach Test(FRT)、3)Chair Rising Time(CRT)、4)二重課題、5)片足起立時間を測定した。統計解析には、運動機能評価には対応のないt検定を用い、転倒回数と運動機能評価の関連性の検討にはフィッシャーの正確検定(両側)を用いた。

【結果】
転倒群と非転倒群の平均年齢はそれぞれ76.8歳、72.5歳であった。また、介護認定者は1名(要支援2)のみであった。転倒回数は1回が3名、2回以上が12名であった。
運動機能評価において有意差がみられたのは、TUG・FRT・CRT・二重課題であった。また、転倒回数と運動機能評価の関連性では、運動機能評価5項目のうち2項目以上に問題がある者は、複数回転倒していた。

【結論】
(1)運動機能評価5項目は短時間で実施でき、転倒リスクが予測できることから有用であると考える。有意差がみられたTUGは「動的安定性・歩行能力」、FRTは「安定性限界」、椅子立ち上がり時間は「下肢筋力」、二重課題は「同時処理能力・認知的機能」を反映するので、これらの評価を行うことで、転倒に関与する大きな因子を短時間で特定することが可能である。(2)運動機能評価で2項目以上に問題がある者は、複数回転倒しており「転倒ハイリスク者」であると考えられるため注意を要すると考えられた。(3)今後、より簡便にかつ的確に転倒しやすい高齢者を把握出来るよう、評価法をさらに改善していく必要がある。

【倫理的配慮、説明と同意】
本臨床研究の目的を患者に十分に説明し、患者の自由意志による同意を口頭にて行った。また、個人情報の保護に努めた。