[P-09] 通所リハビリテーションにおける利用者の目標選択に関連する因子
-活動・参加目標に着目して-
キーワード:参加、活動、通所リハビリテーション
【はじめに・目的】
近年の介護保険分野では心身機能だけでなく,活動や参加に焦点を当てたリハビリテーション(以下,リハビリ)が推進されており,当事業所においても様々な取り組みを工夫している。しかし,担当セラピスト(以下,担当)の思いと利用者の利用目的がいつも一致しているとは言い難い状況があり,利用者の受動的姿勢にしばしば苦慮する。そこで利用者が認識している通所リハビリの目標を調査し「活動」「参加」を目標とする要因をそれぞれ分析して,リハビリの目標選択の一助とすることを目的とした。
【方法】
Oデイケアを利用している113名を対象にリハビリの目標に対する意識調査アンケートを実施した。担当にも同じアンケートを実施した。同時に,ケアプランで当デイケアに求める解決すべき具体的な課題(以下,ケアプランの目標)を調査した。また,利用者が「活動」と「参加」をリハビリの目標に挙げる要因を分析するため,通所リハビリ計画書の内容を調査した。
アンケートの結果「活動」と「参加」それぞれに,利用者がその内容をリハビリの目標に挙げている群を目標あり群,挙げていない群を目標なし群とする従属変数とし,年齢,性別,要介護度,利用回数,TUG,FIM運動項目計,FIM認知項目計,FAI合計,家庭内役割,社会的役割,余暇活動,担当の目標,ケアプランの目標を独立変数として多重ロジスティック回帰分析を行った。
統計処理にはR2.8.1を使用し,有意水準はp=0.05とした。
【結果】
多変量解析の結果,利用者の活動目標は,年齢(OR 1.042,95%CI 0.989-1.099),性別(OR 2.618,95%CI 0.856-8.007),要介護度(OR 1.732,95%CI 1.066-2.812),TUG(OR 1.026,95%CI 0.995-1.057),FIM認知項目計,(OR 0.837,95%CI 0.667-1.052),家庭内役割(OR 0.247,95%CI 0.071-0.863),社会的役割(OR 3.824,95%CI 1.109-13.183),余暇活動(OR 0.266,95%CI 0.063-1.247),担当の目標(OR3.119,95%CI 0.937-10.382)が影響する因子として抽出された。参加目標は,年齢(OR 0.941,95%CI 0.901-0.982),利用回数(OR 1.660,95%CI 0.975-2.826),余暇活動(OR 0.415,95%CI 0.134-1.285)が影響する因子として抽出された。
【結論】
介護サービスにおいて,利用者,担当,ケアプランの目標は本来一致すべきであるが,今回の調査により利用者の活動及び参加の目標選択において,ケアプランの目標は影響していないことが明らかとなった。担当の目標については,喫緊の解決すべき課題である活動では目標を共有できているが,生活の質の向上に繋がる参加の面では不十分であることが示唆された。利用者の社会参加が進まない要因の一つに,利用者と担当やケアプランとの目標共有が不十分であることが考えられるのではないだろうか。
参加については,年齢,利用回数,余暇活動が影響する因子として抽出され,TUGやFIMなどの個人の能力は抽出されなかった。利用者の参加に関する目標選択には,ICFにおける環境因子や個人因子が影響することが示唆され,リハビリの目標選択においても背景因子を考慮する必要性が示された。
【倫理的配慮、説明と同意】
対象者には研究内容を十分に説明し,書面にて同意を得た。尚,本研究はおさか脳神経外科病院倫理委員会の承認を得ている。
近年の介護保険分野では心身機能だけでなく,活動や参加に焦点を当てたリハビリテーション(以下,リハビリ)が推進されており,当事業所においても様々な取り組みを工夫している。しかし,担当セラピスト(以下,担当)の思いと利用者の利用目的がいつも一致しているとは言い難い状況があり,利用者の受動的姿勢にしばしば苦慮する。そこで利用者が認識している通所リハビリの目標を調査し「活動」「参加」を目標とする要因をそれぞれ分析して,リハビリの目標選択の一助とすることを目的とした。
【方法】
Oデイケアを利用している113名を対象にリハビリの目標に対する意識調査アンケートを実施した。担当にも同じアンケートを実施した。同時に,ケアプランで当デイケアに求める解決すべき具体的な課題(以下,ケアプランの目標)を調査した。また,利用者が「活動」と「参加」をリハビリの目標に挙げる要因を分析するため,通所リハビリ計画書の内容を調査した。
アンケートの結果「活動」と「参加」それぞれに,利用者がその内容をリハビリの目標に挙げている群を目標あり群,挙げていない群を目標なし群とする従属変数とし,年齢,性別,要介護度,利用回数,TUG,FIM運動項目計,FIM認知項目計,FAI合計,家庭内役割,社会的役割,余暇活動,担当の目標,ケアプランの目標を独立変数として多重ロジスティック回帰分析を行った。
統計処理にはR2.8.1を使用し,有意水準はp=0.05とした。
【結果】
多変量解析の結果,利用者の活動目標は,年齢(OR 1.042,95%CI 0.989-1.099),性別(OR 2.618,95%CI 0.856-8.007),要介護度(OR 1.732,95%CI 1.066-2.812),TUG(OR 1.026,95%CI 0.995-1.057),FIM認知項目計,(OR 0.837,95%CI 0.667-1.052),家庭内役割(OR 0.247,95%CI 0.071-0.863),社会的役割(OR 3.824,95%CI 1.109-13.183),余暇活動(OR 0.266,95%CI 0.063-1.247),担当の目標(OR3.119,95%CI 0.937-10.382)が影響する因子として抽出された。参加目標は,年齢(OR 0.941,95%CI 0.901-0.982),利用回数(OR 1.660,95%CI 0.975-2.826),余暇活動(OR 0.415,95%CI 0.134-1.285)が影響する因子として抽出された。
【結論】
介護サービスにおいて,利用者,担当,ケアプランの目標は本来一致すべきであるが,今回の調査により利用者の活動及び参加の目標選択において,ケアプランの目標は影響していないことが明らかとなった。担当の目標については,喫緊の解決すべき課題である活動では目標を共有できているが,生活の質の向上に繋がる参加の面では不十分であることが示唆された。利用者の社会参加が進まない要因の一つに,利用者と担当やケアプランとの目標共有が不十分であることが考えられるのではないだろうか。
参加については,年齢,利用回数,余暇活動が影響する因子として抽出され,TUGやFIMなどの個人の能力は抽出されなかった。利用者の参加に関する目標選択には,ICFにおける環境因子や個人因子が影響することが示唆され,リハビリの目標選択においても背景因子を考慮する必要性が示された。
【倫理的配慮、説明と同意】
対象者には研究内容を十分に説明し,書面にて同意を得た。尚,本研究はおさか脳神経外科病院倫理委員会の承認を得ている。