第6回日本地域理学療法学会学術大会

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ポスター

ポスター4

[P] ポスター4

Sun. Dec 15, 2019 1:40 PM - 2:40 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-102] 法人主体の健康教室と工大との共同研究が融合することで得られた効果について

*三政 辰徳1、大畠 誠1、村岡 洋平1 (1. 社会医療法人製鉄記念室蘭病院 訪問リハビリテーションセンター)

Keywords:世代間交流、健康教室、共同研究

【はじめに】当事業所は訪問リハビリテーション業務を主業務とするが,同法人内の地域包括支援センター(以下,包括)と共同でせいてつ健康教室(以下,教室)を運営している.また当事業所は室蘭工業大学のシステム制御工学研究室(以下,工大)と共同研究(以下,研究)を行っている.この2つの企画を融合するようになった.そこで得られた効果について報告する.
【教室】平成27年より,法人内の講堂を利用して開催している.1クールは月2回の3ヵ月間の計6回行い,年2クール行っている.参加者について,活動レベルを虚弱高齢者から要支援認定者の方を対象にしている.通い方については徒歩やバス利用,家族の送迎など様々である.1クールは20名程度を上限としている.運営スタッフは当事業所と包括スタッフ以外にも,教室経験者がサポーターになっている.健康教室と聞くと体操指導を主眼に置いている印象であるが,生活の質が向上することを重視して「せいかつ,いきいき,てを,つなごう」の頭文字からネーミングしている.生活動作に習った体操や,認知症対策のため頭の体操を取り入れている.当院の敷地周辺に散歩をする直前には,転倒予防のために正しい靴の履き方について話す機会がある.介護予防・日常生活支援総合事業の枠組みには属さず,運営主体は法人である.
【工大】平成23年より,高齢者の体力の維持・向上を目指した共同研究を行っている.先行研究ではゲーム機のリモコンに内蔵されているセンサを用いた体操指導を行っていた.その後は体操指導ロボットに習い,高齢者の体操をモーションセンサで読み取り,PCで解析する体操支援システムを研究している.研究対象を市内の地域サロン内で募っていた.研究報告を当事業所の担当スタッフと確認して,意見交換をしている.
【融合】平成29年より教室内で研究を開始した.体操指導ロボットの代わりを,当事業所スタッフが務めている.現在は体操を動画再生して参加者の指導をしている.教室の内容を妨げないように,教室終了後に参加者から同意を得てデータ取得を行っている.教室中には工大生が参加することもある.当初は教室が定期的であり,協力者を募りやすかったことを利点としていたが,回を重ねる毎に参加者は接する機会の少ない世代である工大生との交流を楽しむ様子が見られてきた.工大生はデータ取得の対象が祖父母世代であることに親しみを感じることができ,高齢者に役立てる研究であることを改めて実感していた.平成30年からデータ取得の結果を参加者に紙面で渡すことで,研究が教室のサブイベントとなっている.工大生のうち大学院生は各種学術大会でも研究報告をしている.今後も教室と研究の融合が,参加者と工大生の世代間交流の場として存続されることに加えて,研究成果が高齢者の転倒予防の一助になり,老年学の基盤および訪問リハビリテーションの質の向上に繋がることを期待する.

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は社会医療法人製鉄記念室蘭病院介護福祉事業部研究・発表審査小委員会の規定に基づき,倫理審査を申請し同意を得ている.