第6回日本地域理学療法学会学術大会

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ポスター

ポスター4

[P] ポスター4

Sun. Dec 15, 2019 1:40 PM - 2:40 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-104] 地域在住高齢者のフレイルとQOLの実態調査

*廣津 昂1、守屋 陽平1、山下 安奈1、内田 明子1、朝岡 裕貴1、山下 真由子1 (1. 京都民医連中央病院)

Keywords:ヘルスプロモーション、フレイル、QOL

【はじめに,目的】
フレイルは転倒・骨折と関連し,要介護(要支援)の危険性が高まる状態であり,QOLが低下すると言われている.厚生労働省の報告では,H28年4月の京都市の第1号被保険者の要介護(要支援)認定者の出現率は21.0%であり,全国平均の18.0%を上回っており,京都市の虚弱高齢者の出現率も高い可能性がある.本研究の目的は,要介護者(要支援者)の多い京都市内に住む地域在住高齢者のフレイルやQOLの実態調査を行うことである.
【方法】
対象は京都市朱四学区の月1回のフレイル予防の健康体操教室に参加し, 全ての評価項目の測定が可能であり,調査に同意を得た平均82.4±6.6歳の19名(男性5名,女性14名)である.評価項目はフレイル,QOL,食事状況とした.フレイルは,日本版Cardiovascular Health Study基準(以下,J-CHS基準)に準じて,体重減少,疲労感,身体活動に関する質問と握力や歩行速度の測定を行った.QOLについてはWHO QOL26を使用した.食事状況については,国立市保健センターで使用されている栄養チェック表で評価した.
【結果】
J-CHS基準の結果から対象者19名のうち,プレフレイル13名,フレイル4名であった. J-CHS基準の内訳として,各項目の該当者は体重減少4名,疲労感8名,活動性低下4名,軽い運動・体操をしている者14名,定期的な運動・スポーツをしている者11名であった.WHO QOL26の下位項目は,身体的領域3.3±0.3,心理的領域3.1±0.4,社会的関係3.3±0.5,環境領域3.0±0.4,全項目平均値3.1±0.3であり,健常高齢者の平均値と大きな差異はなかった.栄養チェック表から1日平均6.6品目,13名が7品目以上摂取できていた.
【結論】
本研究の対象者は,フレイルとプレフレイルである者は合わせて17名であったが,一方で,身体活動やバランスの良い食事ができていると答えたものが多く,QOLも低下していなかった.これについては,J-CHS基準では身体活動の具体的な頻度や強度を問う項目がなく,実際には,対象者の身体活動が低下している可能性があると考えた.
フレイルは適切な運動やバランスの良い食事により回復や悪化の予防ができるとされている.月に1度の体操や1回の栄養指導では,QOLやフレイルの改善を図ることは困難であると考えた.そこで,自宅トレーニング指導や栄養チェック表を用いて,継続実施に向けた働きかけを行っていく予定である.健康体操教室に参加するような健康意識が高いと思われる者でもフレイルやプレフレイルに該当する者が多いことから,市中には虚弱高齢者が溢れている可能性が高いと考える.虚弱高齢者のフレイルの改善のみならず,予防的観点も重要であり,今後も地域でのヘルスプロモーション活動を行っていく必要があると考える.

【倫理的配慮、説明と同意】
ヘルシンキ宣言の理念に基づき,対象者には個人を特定できないように調査データを匿名化して使用すること,二次利用しないこと,ならびに発表の趣旨や学会発表させていただく趣旨を十分に説明し, 同意を得た.