[P-11] リハビリテーション会議を行うことによって移動手段や排泄管理が安定した事例
キーワード:リハビリテーション会議、デイケア、リハビリテーションマネジメント
【はじめに・目的】
2025年に向け、現在、介護保険制度では地域包括ケアシステムの構築が重要な政策課題となっている。我々、理学療法士(以下、PT)も身体機能、活動、参加の要素に働きかけ、要介護度の重度化防止に資するサービス提供が求められている。今回、リハビリテーション会議(以下、リハ会議)を行うことによって移動手段や排泄管理が安定した事例を経験したので報告する。
【事例提示】
80代女性。診断名は第4腰椎圧迫骨折。既往歴は甲状腺機能低下症、高脂血症、閉塞性動脈硬化症、非結核性抗酸菌症、うっ血性心不全。要介護度2、BMI21.0±0.4kg/㎡。日常生活自立度A1、認知症高齢者自立度Ⅱ。ADLはBI60点。リハ会議開催までの経過として平成26年、上記診断にて回復期リハビリ病棟を経て高齢者専用住宅に退院され当院通所リハビリテーション(以下、デイケア)を利用していた。約1年後、腰部から臀部にかけて疼痛増悪し、第4腰椎圧迫骨折の再発となりその後、平成28年2月、当院デイケア再開及びリハ会議開始となった。移動レベルは、これまでシルバーカー使用にて屋内歩行自立していたが、徐々に膀胱直腸障害や神経症状を認め、夜間時頻回に行う排泄動作時の転倒が複数回出現していた。それにより夜間時の活動量が増え、当院デイケア利用時は身体疲労や精神的苦痛を訴え積極的な介入を行うことが困難な状態であった。
【方法と経過】
リハ会議開始から7回目までは屋内の転倒予防に焦点を当てた会議を行っていたが、13回目より夜間時の排泄動作及び転倒が頻回に出現し、自己導尿の検討及び変更に至った。この頃の最大握力(以下、GP)12kg、最大下腿周径(以下、CC)32.0cm、BI65点、MNA-SF8点、食事量摂取量は主食9.5割、副食9.1割であった。そこで医師や看護師、CM等の多職種とリハ会議にて、移動手段の検討と排泄管理についてより具体的な在宅支援を実践した。
【結果と考察】
14回目頃には車椅子介助対応が多く、夜間時の排泄動作による身体疲労が出現していたが、身体指標や栄養スクリーニングに著変は認められなかった。15回目には移動手段を車椅子自走へ変更し、排泄管理を尿道カテーテル留置とした。その際のGP11.2kg、CC30.5cm、BI45点、MNA-SF10点、食事量摂取量は主食9.4割、副食8.9割と低下傾向であったが夜間時の排泄動作による転倒は無くなり、様々な行事にも積極的に参加するようになった。今回、多職種協働でリハ会議を行ったことであらゆる情報を有効に共有でき、本事例の生活が安定したと考える。身体機能が低下しても活動レベルを変化させ生活を安定させることは在宅支援事例では重要である。デイケアでのPTは動作練習や運動療法等を提供するだけでなくリハビリテーションマネジメントの視点を持つことの重要性が示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
対象者には本研究における目的と方法を十分に説明し同意を得た上で行った。本研究におけるCOIはない。
2025年に向け、現在、介護保険制度では地域包括ケアシステムの構築が重要な政策課題となっている。我々、理学療法士(以下、PT)も身体機能、活動、参加の要素に働きかけ、要介護度の重度化防止に資するサービス提供が求められている。今回、リハビリテーション会議(以下、リハ会議)を行うことによって移動手段や排泄管理が安定した事例を経験したので報告する。
【事例提示】
80代女性。診断名は第4腰椎圧迫骨折。既往歴は甲状腺機能低下症、高脂血症、閉塞性動脈硬化症、非結核性抗酸菌症、うっ血性心不全。要介護度2、BMI21.0±0.4kg/㎡。日常生活自立度A1、認知症高齢者自立度Ⅱ。ADLはBI60点。リハ会議開催までの経過として平成26年、上記診断にて回復期リハビリ病棟を経て高齢者専用住宅に退院され当院通所リハビリテーション(以下、デイケア)を利用していた。約1年後、腰部から臀部にかけて疼痛増悪し、第4腰椎圧迫骨折の再発となりその後、平成28年2月、当院デイケア再開及びリハ会議開始となった。移動レベルは、これまでシルバーカー使用にて屋内歩行自立していたが、徐々に膀胱直腸障害や神経症状を認め、夜間時頻回に行う排泄動作時の転倒が複数回出現していた。それにより夜間時の活動量が増え、当院デイケア利用時は身体疲労や精神的苦痛を訴え積極的な介入を行うことが困難な状態であった。
【方法と経過】
リハ会議開始から7回目までは屋内の転倒予防に焦点を当てた会議を行っていたが、13回目より夜間時の排泄動作及び転倒が頻回に出現し、自己導尿の検討及び変更に至った。この頃の最大握力(以下、GP)12kg、最大下腿周径(以下、CC)32.0cm、BI65点、MNA-SF8点、食事量摂取量は主食9.5割、副食9.1割であった。そこで医師や看護師、CM等の多職種とリハ会議にて、移動手段の検討と排泄管理についてより具体的な在宅支援を実践した。
【結果と考察】
14回目頃には車椅子介助対応が多く、夜間時の排泄動作による身体疲労が出現していたが、身体指標や栄養スクリーニングに著変は認められなかった。15回目には移動手段を車椅子自走へ変更し、排泄管理を尿道カテーテル留置とした。その際のGP11.2kg、CC30.5cm、BI45点、MNA-SF10点、食事量摂取量は主食9.4割、副食8.9割と低下傾向であったが夜間時の排泄動作による転倒は無くなり、様々な行事にも積極的に参加するようになった。今回、多職種協働でリハ会議を行ったことであらゆる情報を有効に共有でき、本事例の生活が安定したと考える。身体機能が低下しても活動レベルを変化させ生活を安定させることは在宅支援事例では重要である。デイケアでのPTは動作練習や運動療法等を提供するだけでなくリハビリテーションマネジメントの視点を持つことの重要性が示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
対象者には本研究における目的と方法を十分に説明し同意を得た上で行った。本研究におけるCOIはない。