第6回日本地域理学療法学会学術大会

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ポスター

ポスター1

[P] ポスター1

Sat. Dec 14, 2019 3:20 PM - 4:20 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-14] 在宅生活におけるがん患者の栄養状態の改善を目指した一例

*瀬谷 諒太1、飯島 あゆみ1 (1. 西那須野マロニエ訪問看護ステーション)

Keywords:がん、訪問リハビリテーション、栄養管理

【はじめに,目的】
現在,日本では2人に1人が生涯で“がん”と診断されるといわれている.しかし,全がんの年齢調整死亡率は,男女ともに1990年代後半から年々減少傾向にあり,がんサバイバーは年々増加傾向にある.病院での治療を経て,在宅復帰するがんサバイバーも増加していくことが予想されるが,入院中の廃用による身体機能・ADLの低下やがん悪液質による食欲不振・体重減少・筋肉量減少などが,在宅生活に与える影響も大きいと考えられる.今回,がんに対する手術と化学療法を施行された患者の在宅復帰後の訪問リハビリテーション(以下,訪問リハビリ)を経験したので,ここに報告する.
【方法】
症例は80歳代女性.介護度は要介護3.X年Y-3月に膵体部癌の手術施行,Y-2月から術後化学療法を施行.Y-1月に食欲不振、嘔吐などの体調不良あり入院.退院後のY月から訪問リハビリ開始となった.開始当初は,入院中の廃用によりFIMで101点,特に歩行が4点・移乗が3点と減点が著明であり, TUG testでは杖+手引き歩行で39秒を要していた.また,食欲不振により栄養状態も悪く,BMI:14.8kg/m2.上腕周径は右:15.0cm,左:14.5cm.アルブミン値は2.4g/dl,CRP値は0.16mg/dlといずれも低栄養状態を示していた.訪問リハビリは週2回,各40分の介入であった.介入内容は,運動療法を中心にADL動作練習なども実施した.また,栄養状態の改善を目的として,介入後にプロテインを摂取することや,食事以外の間食を増やすことなど,食事指導を行った.
【結果】
FIMは112点まで改善し,特に歩行・移乗がともに7点の自立まで改善.TUG testでは独歩で12秒となった.栄養状態の指標は,BMI:15.4kg/m2,上腕周径は右:16.1cm,左:16.0cm,アルブミン値は3.5g/dlとそれぞれに改善がみられた.ただし,CRP値は7.60mg/dlであった.
【結論】
在宅生活を送るがん患者に対し,運動療法と食事指導を行うことにより,ADL動作の向上と栄養状態の改善が示唆された.ただし,がんの悪液質による代謝異常と運動療法の過負荷が考えられるため,がん患者個々に合わせた栄養補給方法や運動療法の検討が必要となる.

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に沿い,研究の目的や方法,個人情報の扱いについて十分な説明を行い,同意を得た.加えて個人情報の取り扱いは当事業所の個人情報保護規定に則り実施した.