[P-25] 要支援・要介護高齢者における身体・心理・社会的要因と公共交通機関による外出の関連性
Keywords:要支援・要介護高齢者、外出、公共交通機関
【はじめに・目的】
外出には徒歩で外出する場合以外にも公共交通機関を用いて外出する場合もあり、公共交通機関による外出に関連する要因は徒歩による外出を行う場合とは異なる可能性がある。本研究の目的は身体・心理・社会的要因と公共交通機関による外出の関連性を明らかにすることとした。
【方法】
リハビリテーション特化型通所介護施設(3施設)の要支援・要介護高齢者を対象として自記式質問紙調査を実施した。公共交通機関による外出の実施状況、身体的要因、心理的要因、社会的要因を調査した。外出の実施状況は外出していない(以下、非実施)、付添い者と一緒に外出している(以下、付添い)、1人で外出している(以下、自立)の3択を設定した。身体的要因は30-sec Chair-Stand test (以下、30CS)、Functional Reach Test(以下、FRT)、歩行速度とし、各施設で実施された身体機能評価を対象者本人が質問紙に転記した。心理的要因はmodified Gait Efficacy Scale(以下、mGES)、the 15-item Geriatric Depression Scale (以下、GDS-15)、社会的要因はLubben Social Network Scale短縮版の家族項目(以下、Lubben家族)と友人項目(以下、Lubben友人)を測定した。統計学的解析として以下の解析を行った。対象者を非実施群、付添い群、自立群に分け、身体的要因、心理的要因、社会的要因の多重比較(Bonferroni法)を行った。また、公共交通機関による外出の実施状況を従属変数、身体的要因、心理的要因、社会的要因を独立変数としてロジスティック回帰分析を実施した。回帰分析における従属変数は非実施に対する付添いと非実施に対する自立の2つの組み合わせを用いた。
【結果】
157通の返信が得られ、欠損値のない91例のデータを解析対象とした。対象者の平均年齢は79.4歳であり、要支援者が63.1%、要介護者が36.9%であった。公共交通機関による外出が自立している者が47.2%であった。
多重比較では非実施群と付添い群の間では有意差を認めた項目はなかった。非実施群と自立群の間では歩行速度、mGESに有意差が認められた。
ロジスティック回帰分析の結果、非実施−付添い間に有意な要因は認められなかった。非実施−自立間には歩行速度(OR 10.77, 95%CI 2.05- 56.47), mGES(OR, 1.04 95%CI 1.01-1.07), Lubben友人(OR 0.82, 95%CI 0.67- 0.99)が関連していた。
【結論】
公共交通機関による外出の自立には歩行速度と自己効力感、友人ネットワークが関連していた。公共交通機関による外出時には運行時間といった時間的制約の中での移動や、段差、階段、障害物のある通路といった物的制約の中での移動が要求されるため、高い歩行能力や自己効力感が必要になると示唆された。一方で、要支援・要介護高齢者において、友人ネットワークの小ささから、公共交通機関による外出を行う必要に迫られるという側面があると示唆された。本研究では非実施から付添いへの移行に関連する要因は明らかにできなかった。
【倫理的配慮、説明と同意】
研究対象候補者の募集は研究に関するポスターを掲示することで行い、研究内容に関する説明は説明動画によって行った。研究対象者の募集に際して、研究への参加は自由であり、研究への不参加による不利益はないことを説明した。研究参加を希望した者は質問紙と返信用封筒を持ち帰った。返信用封筒を施設内の投函場所もしくは近隣の郵便ポストに投函した時点で研究に同意したこととする旨を研究説明書に明記し、それに従って、返信用封筒を投函した時点で同意が得られたとみなした。本研究は首都大学東京荒川キャンパス研究安全倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号:17112)。
外出には徒歩で外出する場合以外にも公共交通機関を用いて外出する場合もあり、公共交通機関による外出に関連する要因は徒歩による外出を行う場合とは異なる可能性がある。本研究の目的は身体・心理・社会的要因と公共交通機関による外出の関連性を明らかにすることとした。
【方法】
リハビリテーション特化型通所介護施設(3施設)の要支援・要介護高齢者を対象として自記式質問紙調査を実施した。公共交通機関による外出の実施状況、身体的要因、心理的要因、社会的要因を調査した。外出の実施状況は外出していない(以下、非実施)、付添い者と一緒に外出している(以下、付添い)、1人で外出している(以下、自立)の3択を設定した。身体的要因は30-sec Chair-Stand test (以下、30CS)、Functional Reach Test(以下、FRT)、歩行速度とし、各施設で実施された身体機能評価を対象者本人が質問紙に転記した。心理的要因はmodified Gait Efficacy Scale(以下、mGES)、the 15-item Geriatric Depression Scale (以下、GDS-15)、社会的要因はLubben Social Network Scale短縮版の家族項目(以下、Lubben家族)と友人項目(以下、Lubben友人)を測定した。統計学的解析として以下の解析を行った。対象者を非実施群、付添い群、自立群に分け、身体的要因、心理的要因、社会的要因の多重比較(Bonferroni法)を行った。また、公共交通機関による外出の実施状況を従属変数、身体的要因、心理的要因、社会的要因を独立変数としてロジスティック回帰分析を実施した。回帰分析における従属変数は非実施に対する付添いと非実施に対する自立の2つの組み合わせを用いた。
【結果】
157通の返信が得られ、欠損値のない91例のデータを解析対象とした。対象者の平均年齢は79.4歳であり、要支援者が63.1%、要介護者が36.9%であった。公共交通機関による外出が自立している者が47.2%であった。
多重比較では非実施群と付添い群の間では有意差を認めた項目はなかった。非実施群と自立群の間では歩行速度、mGESに有意差が認められた。
ロジスティック回帰分析の結果、非実施−付添い間に有意な要因は認められなかった。非実施−自立間には歩行速度(OR 10.77, 95%CI 2.05- 56.47), mGES(OR, 1.04 95%CI 1.01-1.07), Lubben友人(OR 0.82, 95%CI 0.67- 0.99)が関連していた。
【結論】
公共交通機関による外出の自立には歩行速度と自己効力感、友人ネットワークが関連していた。公共交通機関による外出時には運行時間といった時間的制約の中での移動や、段差、階段、障害物のある通路といった物的制約の中での移動が要求されるため、高い歩行能力や自己効力感が必要になると示唆された。一方で、要支援・要介護高齢者において、友人ネットワークの小ささから、公共交通機関による外出を行う必要に迫られるという側面があると示唆された。本研究では非実施から付添いへの移行に関連する要因は明らかにできなかった。
【倫理的配慮、説明と同意】
研究対象候補者の募集は研究に関するポスターを掲示することで行い、研究内容に関する説明は説明動画によって行った。研究対象者の募集に際して、研究への参加は自由であり、研究への不参加による不利益はないことを説明した。研究参加を希望した者は質問紙と返信用封筒を持ち帰った。返信用封筒を施設内の投函場所もしくは近隣の郵便ポストに投函した時点で研究に同意したこととする旨を研究説明書に明記し、それに従って、返信用封筒を投函した時点で同意が得られたとみなした。本研究は首都大学東京荒川キャンパス研究安全倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号:17112)。