第6回日本地域理学療法学会学術大会

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ポスター

ポスター1

[P] ポスター1

Sat. Dec 14, 2019 3:20 PM - 4:20 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-28] 「活動・参加」に対する当施設の活動報告
~身体機能アプローチのみに終始しないために~

*藤原 邦寛1 (1. 京都民医連あすかい病院)

Keywords:事例報告、「活動・参加」、通所リハビリテーション

【はじめに・目的】生活期のリハビリテーションでは「活動・参加」などの生活機能全般を向上させるためにバランスのとれたリハビリテーションの実施がいわれている。(「身体機能」に偏ったリハビリテーションの見直し。)病院などの医療機関で経験を積んだセラピストが生活期で活躍するときに「活動・参加」へのアプローチに戸惑い、身体機能へのアプローチに終始してしまうことがある。そこで、「活動・参加」へのアプローチに絞って、当法人の通所リハビリテーションの活動報告を行う。なお、当法人がある京都市左京区は高齢化率27.6%と全国平均に近い。またスーパー・ドラックストアが徒歩圏内にあり、市バスや電車等のアクセスが比較的良い地域である。
【方法】訪問前に介護支援専門員からADL・IADLの情報、地域・家庭内での生きがいや役割など可能な範囲で情報収集を行う。訪問時にこの情報を意識しながら、利用者の好きなことや大切にしていることを生活空間の中で照らし合わせる。家族にもADL等の情報を聴取する時に一緒に「活動・参加」につながりそうな情報を確認する。初回利用時に身体機能やADL等の評価を行いながら、「興味・関心シート」をコミュニケーションツールとして利用しつつ、利用者のニーズを引き出す。利用者に対して、「利用者本人がワクワクすること」、「楽しいこと」を考えてもらい、セラピストが「誰と何がしたいですか?」と質問する。具体的な言葉にしずらい時は自宅訪問等で得た情報や運動機能を基にセラピストがいくつか提案する。提案の中から利用者本人が目標を決め、用紙に記載してもらう。そして記載した目標を他の利用者やスタッフが見える位置に掲示する。この目標に沿ってセラピストが課題分析をしながら身体機能等へアプローチしていく。並行して目標達成の為に必要な情報収集やプランニングなど利用者にも出来ることは行ってもらい、認知面機能なども含めて難しい部分はセラピストが支援する。例えば「昔、将棋をしていた。また、友達としたい」との目標であれば、利用者宅の近くで開催されている教室やサロンがないか探す。教室などが見つかれば、利用者の屋外歩行能力が安全かつ快適か評価し、練習をすれば改善するか予後予測をする。はじめての教室へ行きづらい場合はロールモデル探しや介護支援専門員や家族等にも支援を依頼し、コーディネートしていく。
【結果】1年間に当施設の利用者に目標を記載してもらった人数は45人であり、達成は17人、達成率は37.7%であった。また、「活動・参加」の実行状況に肯定的な変化や発言がみられた。
【結論】 社会参加の支援に難渋したセラピストに対して行動変容型の支援も提案されている。今回の報告とあわせて利用者へ「身体機能」と「活動・参加」の両方のアプローチを行い、多くのセラピストで利用者の「社会参加」へ寄与していきたい。

【倫理的配慮、説明と同意】
本発表は、「ヘルシンキ宣言(ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則)」を遵守して実施している。