第6回日本地域理学療法学会学術大会

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ポスター

ポスター2

[P] ポスター2

Sat. Dec 14, 2019 4:30 PM - 5:30 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-33] 当院主催のロコモティブシンドロームの予防を目的とした講座の参加者の傾向
認知及び理解の有無とロコモとの関連

*佐藤 誠剛1、藤林 直樹1、鹿内 利弥1、小野 睦2、佐々木 知行2 (1. 弘前記念病院 リハビリテーション科、2. 弘前記念病院 整形外科)

Keywords:理解度、ロコモ度テスト、認知度

【目的】
ロコモティブシンドローム(以下ロコモ)は健康寿命を短くする原因の一つである。日本整形外科学会によると,青森県はロコモの認知度と理解度が低いと報告されている。また,青森県では短命県返上を推進しており,今後ますますロコモ予防の重要性も高まると考えられる。
当院では,ロコモの啓発と運動習慣獲得を目的に,地域住民を対象とした公開講座を開催した。今回,講座参加者を対象として,ロコモに対する認知と理解の有無と,ロコモ度との関連を検討したので報告する。

【対象および方法】
対象は,2018年11月17日に開催された当院主催の公開講座に参加し,同意を得られた29名(男性3名,女性26名,平均年齢63.2±9.6歳)とした。
自作の記述式アンケートによる調査を実施し,「ロコモ」という言葉を知っている場合を認知有,内容や意味を知っている場合を理解有とした。ロコモ度の判定には,日本整形外科学会による「立ち上がりテスト」,「2ステップテスト」,「ロコモ25」を用いた。いずれか1つのテストでもロコモ度1もしくは2に該当する場合をロコモ,該当しない場合を非ロコモとした。統計解析は,ロコモの認知及び理解の有無と,ロコモの有無についてフィッシャーの正確確率検討を行った。統計解析はR2.8.1を使用し,有意水準は5%とした。

【結果】
ロコモの認知有23名,理解有12名,ロコモ度テストでロコモに該当した者は23名(ロコモ度1:18名,ロコモ度2:5名)であった。ロコモの認知有ではロコモ18名,非ロコモ5名であった。ロコモの認知無ではロコモ5名,非ロコモ1名であった。ロコモの理解有ではロコモ9名,非ロコモ3名であった。ロコモの理解無ではロコモ14名,非ロコモ3名であった。ロコモの認知と理解の有無と,ロコモの有無に関して有意差は認めなかった。

【考察】
本講座参加者において,ロコモの認知と理解の有無と,ロコモの有無に関して有意差を認めず,ロコモの認知と理解の有無はロコモの有無に影響しないことが考えられた。よって,ロコモを予防するためには認知度と理解度の向上だけでなく,適正な運動を指導し,運動を習慣化させることが重要だと考える。そのため,身体機能測定や体操指導などを含めた講座を病院スタッフが開催することは,参加者に身体状況を自覚させることができ,運動を習慣化するきっかけとなると考える。
本研究の限界は,対象が1回の講座参加者に限られていることである。ロコモについては幅広い年代に啓発し,早期からの予防が重要である。よって今後は各年齢層へロコモについて広められるよう講座を継続していくことが必要であると考える。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づいて行われた。また,対象者には本研究について口頭で説明を行った上,アンケートの書面にても説明し,書面にて同意を得た。また,弘前記念病院倫理委員会の承認(承認番号:2019-5号)を得た。