第6回日本地域理学療法学会学術大会

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ポスター

ポスター2

[P] ポスター2

Sat. Dec 14, 2019 4:30 PM - 5:30 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-34] 地域在住高齢者における転倒経験及び転倒不安と運動機能の関係

*上田 悠司1、畑 嘉寿来1、野津 卓1、竹田 雄世1、浅井 剛2 (1. 東浦平成病院リハビリテーション課、2. 神戸学院大学総合リハビリテーション学部理学療法学科)

Keywords:転倒不安、運動機能、転倒経験

【はじめに・目的】
地域在住高齢者を対象とする転倒経験および転倒不安と運動機能についての調査は多岐にわたり報告されている。しかし、運動機能の低下が転倒不安によるのか、それとも転倒経験によるのかは結論がでていない。そこで、本研究では転倒経験および転倒不安が運動機能に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、地域在住高齢者を対象とした研究を実施した。
【方法】
対象は平成31年3月に当院で開催した体力測定会参加者81名(平均年齢:76.5±9.0歳、男性:24名、女性:57名)とし、運動機能を測定できなかった者は除外した。アンケートにて「転ぶことに不安があるか(転倒不安の有無)」、「過去1年間に転倒を経験したか(転倒経験の有無)」を聴取した。運動機能はTimed Up and Go test(以下、TUG)とした。転ぶことに不安がある群(41名)(以下、不安群)と不安がない群(40名)(以下、非不安群)に分け、TUGの時間に差が生じるのかをt検定にて、転倒不安の有無と転倒経験の有無によりTUGの時間に差が生じるのかを多元配置分散分析にて、年齢により転倒不安の有無と転倒経験の有無に差があるのかを一元配置分散分析にて検討した。統計学的有意水準は5%未満とし、統計解析にはEZR on R commander Ver.2.5-1を用いた。
【結果】
不安群(41名)のうち転倒無しは26名、転倒有りは15名であり、非不安群(40名)のうち転倒無しは33名、転倒有りは7名であった。t検定の結果、TUGは不安群が非不安群より有意に時間を要していた(p<0.01)。群間比較の結果、不安群と非不安群では年齢(p=0.185)と性別(p=1.00)においていずれも有意な差を認めなかった。多元配置分散分析の結果、TUGは転倒不安と転倒経験に有意な交互作用を認めなかった(p=0.14)。一元配置分散分析の結果、年齢による転倒不安の有無と転倒経験の有無に有意な差は認めなかった(p=0.36)。
【結論】
地域在住高齢者では転倒不安があると運動機能は低下する。ただし転倒不安と転倒経験との関連性は定かではない。以上のことから、地域在住高齢者では転倒不安という心理的側面を聴取することで運動機能を予測することができ、転倒不安は介護予防の現場にて有用な指標になると考える。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は当院倫理委員会の承認の上、実施した。また、体力測定会参加者には紙面により、測定結果を個人が特定されないように加工し解析をおこなうこと、任意の測定であることから自由に測定を中止しても良いことを説明し、同意を得られた者に実施した。