[P-37] 山間部地域における訪問リハビリテーション利用者の生活空間、幸福感、
家族の介護負担度の関連性
キーワード:介護負担、生活空間、主観的幸福感
【はじめに・目的】
訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)利用者では、より長期的な在宅生活を行うため、対象者本人とその家族を含めた支援が必要である。訪問リハ利用者を対象とした先行研究では、生活空間や介護者の介護負担などを調査した報告はあるが、山間部地域における訪問リハ利用者に対して、これらを調査した報告はない。本研究の目的は、山間部地域における訪問リハ利用者に対して、対象者の生活空間や主観的幸福感、家族の介護負担度と身体機能や社会的背景との関連を明らかにすることとした。
【方法】
対象は当訪問リハ利用者で、65歳以上の認知機能低下のない50名とした。基本情報として、診療録より年齢、要介護度、同居者数、訪問リハ利用期間を収集した。生活空間の評価としてLife Space Assessment(以下、LSA)、 対象者の主観的評価としてPGCモラールスケールを聴取し、家族の介護負担度評価としてZarit介護負担尺度日本語版を家族へ配布し、訪問時に回収した。その他にthe Rapid Dementia Screening Test(以下、RDST)、主介護者数を聴取し、身体機能として片脚立位保持時間(支持脚)を測定した。統計処理は、LSAとPGCモラールスケール、Zarit介護負担尺度に対して、その他各評価項目についてSpearmanの順位相関係数にて算出した。統計ソフトはIBM SPSS Statistics ver.25を使用し、有意水準は5%とした。
【結果】
対象者の年齢は79.6±10.4歳、要介護度は要支援1が10名、要支援2が9名、要介護1が12名、要介護2が11名、要介護3が4名、要介護4が3名、要介護5が1名であった。その他の結果を中央値(第1四分位-第3四分位)で以下に示す。LSAは34.5(27.0-45.1)点、PGCモラールスケールは11.0(7.8-13.0)点、Zarit介護負担尺度13.5(4.0-22.8)点、同居者数は3.0(2.0-4.0)人、訪問リハ利用期間は17.5(6.0-32.3)ヶ月、RDST9.0(8.0-10.0)点、主介護者数は1.5(1.0-2.0)人、片脚立位保持時間0(0-3.3)秒であった。LSAは片脚立位保持時間と有意な正の相関(r=0.477、p<0.01)を認め、Zarit介護負担尺度は主介護者数(r=-0.283、p<0.05)、RDST(r=-0.481、p<0.01)と有意な負の相関を認めた。PGCモラールスケールとはどの評価項目も有意な相関を認めなかった。
【考察】
生活空間は身体機能面と関連しており、都市部在住者を対象とした先行研究の結果を支持する結果となった。家族の介護負担度は、対象者に携わる介護者の人数が少なく、認知機能が低い場合に介護負担度が増大している傾向があることが分かった。この結果は家族に対する支援が必要な家庭環境や対象者の特徴を見極める上での一助となると考える。さらに、利用者の幸福感と家族の介護負担度は必ずしも結び付かないことから、利用者のみでなく、家族を含めた評価・介入を行う必要があると考える。
【倫理的配慮、説明と同意】
ヘルシンキ宣言に則り、個人データに配慮した上で本研究を実施した。また、本研究は当院倫理委員会の承認を得ており、対象者とその家族に対し文書にて説明し、署名にて同意を得た。
訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)利用者では、より長期的な在宅生活を行うため、対象者本人とその家族を含めた支援が必要である。訪問リハ利用者を対象とした先行研究では、生活空間や介護者の介護負担などを調査した報告はあるが、山間部地域における訪問リハ利用者に対して、これらを調査した報告はない。本研究の目的は、山間部地域における訪問リハ利用者に対して、対象者の生活空間や主観的幸福感、家族の介護負担度と身体機能や社会的背景との関連を明らかにすることとした。
【方法】
対象は当訪問リハ利用者で、65歳以上の認知機能低下のない50名とした。基本情報として、診療録より年齢、要介護度、同居者数、訪問リハ利用期間を収集した。生活空間の評価としてLife Space Assessment(以下、LSA)、 対象者の主観的評価としてPGCモラールスケールを聴取し、家族の介護負担度評価としてZarit介護負担尺度日本語版を家族へ配布し、訪問時に回収した。その他にthe Rapid Dementia Screening Test(以下、RDST)、主介護者数を聴取し、身体機能として片脚立位保持時間(支持脚)を測定した。統計処理は、LSAとPGCモラールスケール、Zarit介護負担尺度に対して、その他各評価項目についてSpearmanの順位相関係数にて算出した。統計ソフトはIBM SPSS Statistics ver.25を使用し、有意水準は5%とした。
【結果】
対象者の年齢は79.6±10.4歳、要介護度は要支援1が10名、要支援2が9名、要介護1が12名、要介護2が11名、要介護3が4名、要介護4が3名、要介護5が1名であった。その他の結果を中央値(第1四分位-第3四分位)で以下に示す。LSAは34.5(27.0-45.1)点、PGCモラールスケールは11.0(7.8-13.0)点、Zarit介護負担尺度13.5(4.0-22.8)点、同居者数は3.0(2.0-4.0)人、訪問リハ利用期間は17.5(6.0-32.3)ヶ月、RDST9.0(8.0-10.0)点、主介護者数は1.5(1.0-2.0)人、片脚立位保持時間0(0-3.3)秒であった。LSAは片脚立位保持時間と有意な正の相関(r=0.477、p<0.01)を認め、Zarit介護負担尺度は主介護者数(r=-0.283、p<0.05)、RDST(r=-0.481、p<0.01)と有意な負の相関を認めた。PGCモラールスケールとはどの評価項目も有意な相関を認めなかった。
【考察】
生活空間は身体機能面と関連しており、都市部在住者を対象とした先行研究の結果を支持する結果となった。家族の介護負担度は、対象者に携わる介護者の人数が少なく、認知機能が低い場合に介護負担度が増大している傾向があることが分かった。この結果は家族に対する支援が必要な家庭環境や対象者の特徴を見極める上での一助となると考える。さらに、利用者の幸福感と家族の介護負担度は必ずしも結び付かないことから、利用者のみでなく、家族を含めた評価・介入を行う必要があると考える。
【倫理的配慮、説明と同意】
ヘルシンキ宣言に則り、個人データに配慮した上で本研究を実施した。また、本研究は当院倫理委員会の承認を得ており、対象者とその家族に対し文書にて説明し、署名にて同意を得た。