[P-39] 退院時自立支援サービスへの取り組み
Keywords:自立支援、訪問指導、応用的ADL
【はじめに・目的】
入院から在宅へスムースに移行するためには,退院前訪問指導等を通して,在宅での生活を想定した介入が重要である。しかし,想定した退院後の生活と実際の生活には差があり,特に院内で実施機会が少ない家事などを含む応用的ADLについてはその差が大きいと予測される。
そこで当院では,退院後にリハビリスタッフが訪問する退院時自立支援サービス(以下,支援サービス)を行っている。本サービスは,退院後2~4週間後を目処に対象者宅を訪問し,身体機能やADL,応用的ADL,福祉用具,住環境等について評価し助言を行うものである。今回は,特にFIMとFrenchay Activities Index (以下,FAI)の関係,応用的ADLへの指導内容を中心に分析し,支援サービスの現状について若干の知見を得たので報告する。
【方法】
対象は平成29年7月から令和元年5月に支援サービスを利用した81名である(82.4±70歳,介護保険非該当9名,要支援20名,要介護52名)。
退院時と支援サービス利用時のADLをFIMで,応用的ADLをFAIで評価した。退院時と支援サービス利用時のFIMをウィルコクソン検定にて比較した。また,支援サービス利用時のFIMと応用的ADLとの関連をスピアマンの相関係数で分析した。
代表的な症例の応用的ADLの実施状況や指導内容について検討を行い,支援サービスの現状について検討した。
【結果】
退院時と支援サービス利用時のFIMの中央値はそれぞれ105点,106点であり,有意な差を認めなった(p = 0.0644)。FAIの中央値は7点であった。FIM とFAIの相関係数はrs=0.689(p < 0.001)であり,FIMが高得点な者では応用的ADLの実施状況のバラツキが大きくなる傾向を示した。
腰椎化膿性脊椎炎を呈した70歳代女性は,支援サービス利用時のFIMは120点であり,食事の用意,外出,屋外歩行を実施していた。一方で,庭へ出ることが困難であったため,趣味の庭仕事の実施が困難であった。そのため,同行したケアマネージャーや福祉用具業者と相談し,掃き出し窓に手すり付き階段を設置することで移動を可能とした。
肺炎後に廃用症候群を呈した90歳代女性では,支援サービス利用時のFIMは102点であり,調理,買い物を実施していた。一方で,入院前に可能であった洗濯の実施が困難であった。そのため,洗濯機の使用方法や動作指導を行い,動作の難易度を調整した。
【結論】
支援サービスを実施することで実際の生活に応じた指導,助言を行うことが可能であった。特に応用的ADLについては,入院中に想定していなかった課題が見つかることも多く,実際の生活に対する評価・介入の必要性が示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は当院の倫理委員会の承認を得たものであり,ヘルシンキ宣言に則り実施した。
入院から在宅へスムースに移行するためには,退院前訪問指導等を通して,在宅での生活を想定した介入が重要である。しかし,想定した退院後の生活と実際の生活には差があり,特に院内で実施機会が少ない家事などを含む応用的ADLについてはその差が大きいと予測される。
そこで当院では,退院後にリハビリスタッフが訪問する退院時自立支援サービス(以下,支援サービス)を行っている。本サービスは,退院後2~4週間後を目処に対象者宅を訪問し,身体機能やADL,応用的ADL,福祉用具,住環境等について評価し助言を行うものである。今回は,特にFIMとFrenchay Activities Index (以下,FAI)の関係,応用的ADLへの指導内容を中心に分析し,支援サービスの現状について若干の知見を得たので報告する。
【方法】
対象は平成29年7月から令和元年5月に支援サービスを利用した81名である(82.4±70歳,介護保険非該当9名,要支援20名,要介護52名)。
退院時と支援サービス利用時のADLをFIMで,応用的ADLをFAIで評価した。退院時と支援サービス利用時のFIMをウィルコクソン検定にて比較した。また,支援サービス利用時のFIMと応用的ADLとの関連をスピアマンの相関係数で分析した。
代表的な症例の応用的ADLの実施状況や指導内容について検討を行い,支援サービスの現状について検討した。
【結果】
退院時と支援サービス利用時のFIMの中央値はそれぞれ105点,106点であり,有意な差を認めなった(p = 0.0644)。FAIの中央値は7点であった。FIM とFAIの相関係数はrs=0.689(p < 0.001)であり,FIMが高得点な者では応用的ADLの実施状況のバラツキが大きくなる傾向を示した。
腰椎化膿性脊椎炎を呈した70歳代女性は,支援サービス利用時のFIMは120点であり,食事の用意,外出,屋外歩行を実施していた。一方で,庭へ出ることが困難であったため,趣味の庭仕事の実施が困難であった。そのため,同行したケアマネージャーや福祉用具業者と相談し,掃き出し窓に手すり付き階段を設置することで移動を可能とした。
肺炎後に廃用症候群を呈した90歳代女性では,支援サービス利用時のFIMは102点であり,調理,買い物を実施していた。一方で,入院前に可能であった洗濯の実施が困難であった。そのため,洗濯機の使用方法や動作指導を行い,動作の難易度を調整した。
【結論】
支援サービスを実施することで実際の生活に応じた指導,助言を行うことが可能であった。特に応用的ADLについては,入院中に想定していなかった課題が見つかることも多く,実際の生活に対する評価・介入の必要性が示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は当院の倫理委員会の承認を得たものであり,ヘルシンキ宣言に則り実施した。