第6回日本地域理学療法学会学術大会

Presentation information

ポスター

ポスター2

[P] ポスター2

Sat. Dec 14, 2019 4:30 PM - 5:30 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-41] 入院中に心不全を繰り返していた症例に対する訪問リハビリテーション
家庭内の役割支援は生活機能向上に影響を及ぼす

*仲村 隆弘1、鶴川 俊洋2、北園 海3、大窪 エリカ3 (1. 医療法人青仁会 介護老人保健施設ナーシングホームひだまり、2. 医療法人青仁会 池田病院リハビリテーション科、3. 医療法人青仁会 池田病院リハビリテーションセンター)

Keywords:高齢慢性心不全、訪問リハビリテーション、家庭内役割

【はじめに・目的】
訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)では,在宅での家庭内の役割再獲得が必要となる.また,心不全患者の再発予防を図り在宅生活を継続する為には,動作指導も必要となる.今回,入院中に心不全の寛解・増悪を繰り返し入院が長期化した症例に対し,在宅復帰後に訪問リハが介入した事により,家庭内の役割を再獲得し,日常生活動作・生活関連動作の向上と再入院防止を図れた症例を経験した為、考察を加え報告する.
【方法】
症例は入院期間が3ヶ月と長期化した90歳代女性,NYHA心機能分類Ⅱ,EF=34%,要介護5.日常生活動作については介助を要し,自尿感覚低下から尿カテーテル挿入のまま在宅復帰となる.身体機能と住環境の問題により外来での心リハが困難で訪問リハ開始.定期巡回・随時対応型訪問介護看護(以下,定期巡回)を併用した.初回時は移動・日常生活動作に介助を要し,訪問リハは週1回40分の関わりの中で動線上の移動評価,運動や生活上の管理指導を実施した.初回時より本人が意欲的に行っていたスタッフへのコーヒーの提供は動作の指導を含めて継続して行った.運動負荷はBorg Scaleで11~13と,Karvonen法で係数(K値)0.3を設定し脈拍99回を超えない範囲で実施した.評価項目は,Functional Independence Measure(FIM),Frenchay Activites Index(FAI),体重とし介入前と介入3ヶ月後・6ヶ月後に実施した.
【結果】
介入期間中に心血管イベントは認めなかった.FIMは介入前81点→3ヶ月後100点→6ヶ月後118点,FAIは介入前0点→3ヶ月後10点→6ヶ月後20点と改善を認め,体重は介入前47.1Kg→3ヶ月後47.8Kg→6ヶ月後51.4Kgであった.本人の役割として5mの距離をお盆とポットの物運び動作も初回時は介助を要していたが,自立で行えるまで改善した.在宅復帰しトイレに行く意欲が向上し,尿意感覚が向上し尿カテーテルを抜管でき屋外歩行獲得が図れ,要介護度5から1に改善を認めた.
【結論】
心疾患に対する訪問リハでは,家庭内の役割に対し運動負荷を評価し,心負荷を考慮した環境調整と動作指導を行う事が重要である.症例に関しては,入院前から来客に対してコーヒーを提供する家庭内の役割があった.2往復5mの距離のお盆とポットの物運び動作が必要で,訪問リハ時に動作確認し,バイタル,自覚・他覚症状を評価し他の来客に対しても実施できるよう支援し継続した為,移動安定性向上と家庭内の役割再獲得に繋がった.また,再発予防の為には入院中に指導された生活管理を退院後に在宅で継続していく為の管理を一緒に行う事も必要である.今回は,家族の調理と惣菜購入により食事管理が困難となり,体重増加に繋がった為,今後は家族も含めた生活管理が必要である.今後も心疾患を有する高齢者は増加すると予測される為,在宅での日常生活動作訓練・疾病管理を含めた訪問リハが有効となる.

【倫理的配慮、説明と同意】
対象者・家族には口頭にて説明を行い,書面にて同意を得た.またヘルシンキ宣言に則り,倫理的配慮に基づいてデータを取り扱った.