第6回日本地域理学療法学会学術大会

講演情報

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ポスター2

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2019年12月14日(土) 16:30 〜 17:30 ポスター会場 (東館3階 D会議室)

[P-42] 当事業所における訪問リハビリテーションの現状と課題~卒業にむけて~

*釼持 のぞみ1、加藤 大樹1、加藤 千佳1 (1. 社会医療法人愛生会 総合上飯田第一病院)

キーワード:基本的生活動作、訪問リハ、手段的日常生活動作

【はじめに】昨今の介護報酬改定では、地域包括ケアシステムの一環として訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)終了後の社会参加移行の促し、自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの提供の実現が推奨されている。一方で、当事業所は平成28年より総合病院でみなし指定事業所を立ち上げ、退院直後から訪問リハを提供し、社会参加・自立支援を促してきた。今回、当事業所の訪問リハ利用者の半年以内に訪問リハを終了した利用者と半年以上継続利用となった利用者の特性および基本的生活動作(以下、BI)・手段的日常生活動作(以下、IADL)を比較検討し、現状と課題を明確化することを目的とした。
【方法】対象は、2016年6月1日~2019年5月31日の期間で当事業所の訪問リハを利用した66名(男性9名、女性57名、平均年齢83.3±5.5歳)、除外基準は死亡終了した利用者とした。利用開始から半年以内で卒業した終了群32名、半年以内に卒業できなかった継続群34名の2群に分類した。調査項目は、基礎項目として①介護度、②世帯構成、③主疾患、④初期リハプログラム、⑤併用サービス、動作能力として⑥初期・3か月目もしくは終了時のBI・IADLを後方視的に調査した。なお、統計解析方法は、群間比較を①~⑤カイ二乗検定、⑥Mann-WhitneyのU検定を行い、さらに各時期の群内比較をWilcoxonの符号順位検定を使用した。有意水準は5%とした。
【結果】2群間の比較では、基礎項目は、世帯構成のみ有意差を認めた(p<0.05)。動作能力は、BIの初期歩行(p<0.05)、3ヶ月目歩行(p<0.05)・階段・総合得点(p<0.01)、IADLの初期洗濯・買い物、3ヶ月目食事の用意・食事の片付け・洗濯(p<0.05)で有意差を認めた。群内比較は、両群BI・IADLともに有意差を認めた(p<0.01)。
【結論】終了群は継続群に比べ、初期の歩行能力が有意に高値を示し、洗濯・買い物の頻度が有意に多かった。また3ヶ月目も同様にBI・IADLの下位項目で有意差を認めたことは、初期・3ヶ月目の生活動作能力が、訪問リハ卒業に関与していることが考えられる。さらに、両群ともに初期と比べ3ヶ月目で生活動作能力が改善した。一方で、世帯構成からみると、終了群は単身世帯の割合が多く、継続群は子供と同居している割合が多い結果となった。初期プログラムや併用サービスに差がないことから、動作能力の改善のみでは卒業に向けた訪問リハの介入としては不十分であったこと、同居世帯においては、できる能力があっても家族からの何らかの社会的制約を受けている可能性があり、家族支援に対してより重点を置く必要があると考えた。今後、より包括的に社会参加・自立支援を促す取り組みが必要と考える。

【倫理的配慮、説明と同意】
対象者には十分に説明を行い、同意を得た。またヘルシンキ宣言に則り、倫理的配慮に基づいてデータを取り扱った。