[P-43] 通所リハビリテーション利用中の要支援・要介護高齢者におけるサルコペニア重症度とBody Mass Indexとの関連
European Working Group on Sarcopenia in Older People 2によるアルゴリズムを用いた調査
Keywords:要支援・要介護高齢者、サルコペニア重症度、Body Mass Index
【はじめに・目的】
筋力の低下に加え,骨格筋量の低下または質の低下を示す状態はサルコペニアと診断され(Cruz-Jentoft et al., 2018),システマティックレビューによると地域在住高齢者におけるサルコペニア有病率は7.5%~77.6%であるとの報告がなされている(Lardiés-Sánchez et al., 2016).サルコペニアは転倒・骨折の危険性の増大,日常生活の活動能力(ADL)の低下,および死亡率の増大と関連する事が報告されており(Cruz-Jentoft et al., 2010),これらから地域在住高齢者のADLの向上を図る上で,サルコペニアに対する策を講ずる事は重要である.また最近,European Working Group on Sarcopenia in Older People 2(EWGSOP2)により,新たなサルコペニアのコンセンサス論文が発表された.これらの新たな定義やアルゴリズムを用いて,臨床データを蓄積していく事は急務である.したがって本研究では,EWGSOP2により報告された新たなアルゴリズムと基準値を用いてカテゴリー分けされたサルコペニア重症度とBody Mass Index(BMI)との関連を調査することを目的とした.
【方法】
対象は通所リハビリテーション利用中の要支援・要介護高齢者45名(男性:11名,女性:34名,年齢:87.±6.1歳,平均介護度:1.16)とした.除外基準は進行性の神経疾患を有する者とした.サルコペニア重症度の判定はEWGSOP2のアルゴリズムを参考に「サルコペニア非該当者」,「サルコペニア疑い該当者」,「サルコペニア該当者」,「重度サルコペニア該当者」にカテゴリー分けを行った.骨格筋指数(Skeletal Muscle Mass Index:SMI)はBioelectrical impedance analysis法(InBody470:InBody Japan社製)により測定した四肢筋肉量を身長(m)の2乗で除す事で算出した.また女性におけるSMIの基準値は5.5kg/m2を採用した(Cruz-Jentoft et al., 2019).統計学的解析は各データの正規性を確認した後に,ケンドールの順位相関係数によりサルコペニア重症度とBMIの関連性を調査した.解析ソフトはEZRを使用し,統計学的有意水準は5%未満と設定した.
【結果】
サルコペニア重症度は,サルコペニア非該当者:8名(17%),サルコペニア疑い該当者:11名(24%),サルコペニア該当者:9名(20%),重症サルコペニア該当者:17名(37%)であった.また相関分析の結果,サルコペニア重症度とBMIの間に有意な相関を認めた(τ=-0.36,p<0.01).
【結論】
本研究の結果より,地域在住要支援・要介護高齢者におけるサルコペニア重症度とBMIには有意な相関関係が認められた.これらはリハビリテーション栄養の概念を支持するものであり,臨床的に意義深いものであると考えられる.しかし本研究は相関分析のみの結果であるため,因果関係を示すものではない.よって今後は縦断データを蓄積することや多変量解析を用いることで,本研究の結果をより明確にしていきたい.
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はプライバシー保護のため,個人情報が特定できないよう配慮した.
筋力の低下に加え,骨格筋量の低下または質の低下を示す状態はサルコペニアと診断され(Cruz-Jentoft et al., 2018),システマティックレビューによると地域在住高齢者におけるサルコペニア有病率は7.5%~77.6%であるとの報告がなされている(Lardiés-Sánchez et al., 2016).サルコペニアは転倒・骨折の危険性の増大,日常生活の活動能力(ADL)の低下,および死亡率の増大と関連する事が報告されており(Cruz-Jentoft et al., 2010),これらから地域在住高齢者のADLの向上を図る上で,サルコペニアに対する策を講ずる事は重要である.また最近,European Working Group on Sarcopenia in Older People 2(EWGSOP2)により,新たなサルコペニアのコンセンサス論文が発表された.これらの新たな定義やアルゴリズムを用いて,臨床データを蓄積していく事は急務である.したがって本研究では,EWGSOP2により報告された新たなアルゴリズムと基準値を用いてカテゴリー分けされたサルコペニア重症度とBody Mass Index(BMI)との関連を調査することを目的とした.
【方法】
対象は通所リハビリテーション利用中の要支援・要介護高齢者45名(男性:11名,女性:34名,年齢:87.±6.1歳,平均介護度:1.16)とした.除外基準は進行性の神経疾患を有する者とした.サルコペニア重症度の判定はEWGSOP2のアルゴリズムを参考に「サルコペニア非該当者」,「サルコペニア疑い該当者」,「サルコペニア該当者」,「重度サルコペニア該当者」にカテゴリー分けを行った.骨格筋指数(Skeletal Muscle Mass Index:SMI)はBioelectrical impedance analysis法(InBody470:InBody Japan社製)により測定した四肢筋肉量を身長(m)の2乗で除す事で算出した.また女性におけるSMIの基準値は5.5kg/m2を採用した(Cruz-Jentoft et al., 2019).統計学的解析は各データの正規性を確認した後に,ケンドールの順位相関係数によりサルコペニア重症度とBMIの関連性を調査した.解析ソフトはEZRを使用し,統計学的有意水準は5%未満と設定した.
【結果】
サルコペニア重症度は,サルコペニア非該当者:8名(17%),サルコペニア疑い該当者:11名(24%),サルコペニア該当者:9名(20%),重症サルコペニア該当者:17名(37%)であった.また相関分析の結果,サルコペニア重症度とBMIの間に有意な相関を認めた(τ=-0.36,p<0.01).
【結論】
本研究の結果より,地域在住要支援・要介護高齢者におけるサルコペニア重症度とBMIには有意な相関関係が認められた.これらはリハビリテーション栄養の概念を支持するものであり,臨床的に意義深いものであると考えられる.しかし本研究は相関分析のみの結果であるため,因果関係を示すものではない.よって今後は縦断データを蓄積することや多変量解析を用いることで,本研究の結果をより明確にしていきたい.
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はプライバシー保護のため,個人情報が特定できないよう配慮した.