第6回日本地域理学療法学会学術大会

講演情報

ポスター

ポスター2

[P] ポスター2

2019年12月14日(土) 16:30 〜 17:30 ポスター会場 (東館3階 D会議室)

[P-45] 2025年問題で予測される地域単位での変化と理学療法提供方法の関連についての考察
高齢化率と要介護区分の推移に着目して

*穴田 周吾1 (1. 追手門学院大学大学院、2. 医療法人松仁会明徳病院)

キーワード:地域包括ケアシステム、2025年問題、地域理学療法

【はじめに、目的】2025年問題では団塊の世代が後期高齢者となることにより様々な課題が生じることが懸念されている。だが、実情は地域による特異性も大きいことから課題解決には各地域単位での分析を必要とすると考える。そのため一次医療圏を一つの単位とし、現在の各指標と2025年予想値での比較を行うことで医療・介護分野での理学療法およびリハビリテーション需要の変化について予想を明らかとすることを目的とする。
【方法】大阪府三島郡島本町を対象とした。面積16.81㎢、人口30,636人(平成29年時点)であり、地域包括支援センターは町運営が一か所のみの地域である。同町について島本町ホームページ、島本町統計書、地域医療情報システム(JMAP)、国勢調査(2015年)の各公開指標を用いてデータ収集および分析を行うこととした。
【結果】まず現状として平成29年度で高齢者の総数は8,191名で高齢化率は26.69%。要介護認定率は18.1%であり、内訳は要支援1…240名、要支援2…223名、要介護1…361名、要介護2…237名、要介護3…177名、要介護4…129名、要介護5…112名で非該当者が6712名であった。将来推計として2025年では高齢者の総数は8,590名で高齢化率は30.6%。要介護認定率は23.7%と試算が出ている。内訳は要支援1…328名、要支援2…309名、要介護1…521名、要介護2…324名、要介護3…251名、要介護4…156名、要介護5…144名で非該当者が6557名の予測値であった。なお、2015年比較で医療需要が110%、介護需要が148%の増加がそれぞれ医師会データより予測された。同町のリハビリテーション提供体制としては病院…1施設(114床/一般病床、地域包括ケア、回復期)、介護老人保健施設…1施設(88床/入所.ショート)、診療所…2施設、訪問リハビリ(含む訪問看護)事業所…3施設、リハビリ特化型通所介護事業所…2施設、住民主体の通いの場(いきいき100歳体操/全高齢者あたりの参加率約5%)などがある。
【結論】2025年圏域内においての予想は医療需要で約10%、介護需要では約50%と増加が著しく理学療法ニーズもそれらに追従する可能性がある。また、住民の健康や社会保障費の抑制の視点では要介護認定率向上に対して抑制の重要性が示唆される。特に軽度者の増加が人数としては多いことから、介護保険非該当の虚弱~元気高齢者に対する予防理学療法的取り組みと、軽度者の活動と参加の推進による重度化予防の関わりの必要性が高いと思われる。中重度者においては比較的増加は少ないが、居住系サービスが町に乏しいため在宅限界点の底上げが担える個別性の高い支援のニーズが出てくると予測する。また、現状の理学療法およびリハビリテーションの提供体制は医療/介護保険下によるものが大半のため両保険対象外の層や、理学療法士などの不在の場所へのサービス提供についての手法についても検討していく必要があるのではないか。以上を当該地域での2025年問題への対応の案として報告とする。

【倫理的配慮、説明と同意】
今回の発表にあたり使用したデータはすべて行政の公開情報と匿名データを用いており、倫理的配慮を行っている。