第6回日本地域理学療法学会学術大会

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ポスター

ポスター2

[P] ポスター2

Sat. Dec 14, 2019 4:30 PM - 5:30 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-51] 当院地域包括ケア病棟における疾患別リハビリ対象外患者に対する現状と課題
専従療法士の役割

*田中 凌1、鶴川 俊洋2、柿迫 直樹1、森田 伸一1、村江 誠雄1 (1. 医療法人青仁会池田病院リハビリテーションセンター、2. 医療法人青仁会池田病院リハビリテーション科)

Keywords:地域包括ケア病棟、リハビリ対象外疾患、専従療法士

【はじめに・目的】
地域包括ケア病棟では最長でも60日間という短い期間の中で,患者の在宅支援をいかにサポートしていくかが重要になる.当院は地域包括ケア病棟を2019年1月より療養病棟から転換し,主にポストアキュートの機能を多く担っている.超高齢社会が進む中で入院患者の疾患は多彩であり,疾患別リハビリテーション対象外患者が増加傾向にあるのが現状の課題である.患者へ十分にリハビリテーション(以下リハ)を提供できない状況が廃用を来たし,在宅復帰が困難となってくることを阻止することを重要な役割として担った.当院の専従療法士の役割と現状の取り組みを報告する.
【方法】
対象は2019年4月から5月までに当院地域包括ケア病棟に在棟していた疾患別対象外患者21名を対象とした.対象外患者は原則病棟専従療法士であるPT,OTが対応した.取り組み内容は昼食前20分の集団体操(全身運動,集団起立),個別リハ(週2回20分間)とした.集団体操に関しては,安全面に配慮し療法士1名,看護師1名,介護職1名を常駐する事として実施した.調査項目として原因疾患,年齢,地域包括在棟日数,在宅復帰率,入退院時BIとした.
【結果】
対象者に対し,Point of care(以下POC)を中心とした介入を行った.原因疾患の内,腎疾患38%,心疾患19%,脳血管19%,その他24%だった.平均年齢80±10歳,平均在棟日数27±12日,在宅復帰率81%,入棟時BI48±37点,退院時BI65±32点であった.
【結論】
専従療法士の役割として身体機能・ADL能力低下を予防する為,集団体操,個別リハの提供を行った.集団体操を取り入れたことで離床時間の獲得,自助の促進,社会的孤独感の解消,何より患者自身の意欲向上に繋がった.さらに個別リハではリアルタイムにて直接介入するPOCを実施.PTは廃用予防と機能回復をOTは生活リハと役割を明確化する事で今後の方向性を見据える一助となった.しかし,集団体操を取り入れてメリットも多いが,介入した患者の疾患を分類すると上位2群は内部障害を有する割合が占める.年齢(80±10歳)は高く背景には重複疾患を抱えるケースが多く見受けられる.療法士のみならず病棟スタッフと連携しリスク管理や病態に合わせたプログラムを提供する事が今後も取り組むべき課題である.一般病棟と地域包括ケア病棟の違いは専従療法士の配置や在宅復帰支援担当者の専任配置であるが後者は専任である為,入棟時カンファレンス以降,多職種カンファレンスまでの期間が延長している傾向にある.今回,平均在棟日数27±12日で在宅復帰率は81%であった.円滑な退院支援を行うにあたり定期的な情報共有・連携強化は必要であるが専従療法士としてはまだ十分に連携が築けているとは言い難い.当院は併設された訪問看護サービスや介護老人保健施設で医療・介護サービスが機能的に提供できる体制が整っている利得はあるが当病棟との独自の関係性は未整備で課題である.

【倫理的配慮、説明と同意】
本報告はヘルシンキ宣言に則り,対象者の保護は十分留意し,論理的配慮に基づきデータの取り扱いを行った.