第6回日本地域理学療法学会学術大会

Presentation information

ポスター

ポスター2

[P] ポスター2

Sat. Dec 14, 2019 4:30 PM - 5:30 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-54] 転帰先によって生活目標に差異はあるのか

*舟橋 宏樹1、羽場 桃子1、稲垣 枝布1、佐々木 ゆき1 (1. JA愛知厚生連 足助病院)

Keywords:生活目標シート、地域包括ケア病棟、在宅復帰

【はじめに】
地域包括ケア病棟では、在宅復帰率が7割という目標が設定され重要なファクターとなっている。当院では2018年6月より患者ごとに生活目標と日課を設定し、それを生活目標シートとしてベッドサイドに掲示することにより、目標の見える化および共有を図り、在宅復帰を目指してきた。 今回、生活目標に掲げられた内容のキーワードを抽出することにより、在宅と施設の目標の違いを明らかにする。
【方法】
対象は2018年6月~12月に地域包括ケア病棟に入棟し、生活目標シートを作成した89名。作成時に方向性が未定であった3名を除外とした。
生活目標シート作成時の方向性で自宅群(71名)と施設群(15名)に分け、生活目標に掲げられたキーワード上位20項目について割合に差があるのかを検証した。
なお統計にはFisherの直接確率検定を使用し有意水準を5%未満とした。
【結果】
抽出されたキーワードは多い順に、自立、一般浴、トイレ、更衣、移動、歩行、移乗、入浴、整容、床上動作、見守り、介助、歯磨き、階段、薬の自己管理、杖、座浴、歩行器、車椅子、食事であった。 その中で自宅群に有意に多かったのが、一般浴・歩行・入浴・床上動作・階段・薬の自己管理(P<0.01)、トイレ・整容・杖(P<0.05)であった。また、施設群に有意に多かったのが、介助(P<0.01)であった。 【結論】
本研究において使用されたキーワードは自由記載であり、FIM等で検討した先行研究とは単純な比較は困難であるが、金山らは回復期リハ病棟から在宅復帰する患者は退院時の移動能力が高く、認知症は重度でないと報告している。前田らは、自宅退院に影響を及ぼすFIM項目をトイレ動作・トイレ移乗・階段・記憶・移動様式としている。本研究でも排泄や移動、階段は自宅群に有意に多かったため、同様の傾向がみられるといえる。また、当院診療圏は中山間地域にあり、段差の多い和風な家屋環境や独居世帯や老人世帯が多いことから、上記項目に加え、FIMでは表現されない入浴形態や歩行補助具の種類、床上動作や薬の自己管理が自宅復帰に重要であることが明らかとなった。
地域包括ケア病棟では全ての患者に個別リハビリを提供するわけではないが、在宅復帰率7割以上の基準があるように、個別リハビリのない患者においても病棟で目標達成に向けて生活していくことが必要となってくる。本研究で用いた生活目標シートにより、目標と日課をベッドサイドに掲示して簡単に確認できるようにしていくことで、リハスタッフのみならず患者・家族や看護職員をはじめとした病棟スタッフとの共有が図れ、目標達成に向けて統一した関りが可能となった。今後生活目標シートが当院の地域包括ケア病棟の運営において重要な役割を果たしていけるではないかと考える

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は当院倫理委員会の承認を得ており、入力データは匿名化しパスワードによって保護された媒体にて保管された。